『LS600h』最大の特徴は、世界最大級のハイブリッドエンジンを搭載していることだ。ただ、このハイブリッドシステムが興味深いのは、環境性能のみを狙っただけでなく、むしろエキストラパワーを得るためのハイブリッド化に思えることだ。やや大袈裟にいえば、5リッターNAでは満足できず、過給器を合体させたのだと考えるのが自然に思える。
ハイブリッド化のため大幅な重量増があるのにもかかわらず、エンジンとモーターがシンクロすると、加速感はかなり力強い。発進のその瞬間こそ穏やかなフィーリングなのだが、巡航速度からの加速は、まさに過給器が組み合わされているかのよう。乗り味も重味があるし、じつはハンドリングも鈍くない。直進性も問題ない。ショーファードリブンというより、ステアリングを握りたくなるのだ。
ただし、フロアがブルブルと震えるのには興醒めである。そこだけには疑問符がつく。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★★★★
木下隆之| モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも。