【池原照雄の単眼複眼】富士重工、日本は台数を落としても収益重視の中期計画

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毎年1車種以上の新モデルを投入

富士重工業(スバル)が2007年度から10年度までの新中期経営計画で、日本市場では収益重視の方針を鮮明に打ち出した。4年間で世界販売(出荷ベース、以下同)は19%拡大させる計画だが、こと日本については06年度見込みより2.5%のマイナスを想定している。

販売台数は減るものの、登録車のウェイトを高め「収益改善につなげる」(森郁夫社長)構えだ。中計期間中はまっさらの新機種を含め、毎年1車種以上の新モデルを投入、同社としては過去にない攻勢をかける。

新中計で示された国内販売計画は、06年度見込みの24万2000台から10年度には23万6000台と、6000台の減少としている。森社長は、この間の国内総市場を横ばいと見ており、計画は「市場環境を冷静に分析して」打ち出したという。

◆3割程度の拡大を見込む登録車

日本市場は軽自動車が過去最高レベルで推移、登録車は長期の低迷が続いている。しかし、富士重工はあえて登録車に開発・販売体制整備などの経営資源を集中的に投入する戦略を打ち出した。

国内販売計画の内訳は明らかにしていないものの、登録車は06年度見込みの8万5000台程度から10年度には約3割多い11万台規模への拡大を想定しているようだ。好調の軽を相当数落としても、収益貢献度の高い登録車の販売増を狙うというメリハリのある計画とした。

注目の新機種は、森社長が「マルチパッセンジャー」と呼ぶ多人数乗用車と、Bセグメントのエントリーコンパクトの2車種。前者は08年度中、後者は10年度中の投入が計画されている。

◆ミニバンの範疇を超えた注目の多人数乗用車

富士重工はかつてGM(ゼネラルモーターズ)グループのオペルから3列ミニバン『トラヴィック』をOEM調達して国内に投入した。しかし、スバルの走りにはほど遠いと不評で、04年末には販売を終了している。新開発の多人数乗用は、「ミニバンのカテゴリーを超えた」(富士重工関係者)モデルとして登場するという。

これらの新機種投入がない年には、それを埋め合わせるように、『レガシィ』『インプレッサ』『フォレスター』という既存の基幹3モデルについて順次、全面改良を実施する計画だ。

森社長は「販売競争が世界一厳しい日本市場での競争により、商品技術を鍛えたい」と言う。かつてない登録車の集中的な開発投資は、グローバル市場での飛躍を念頭に置いたものでもある。

《池原照雄》

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