またもや『ランエボ』は進化してしまったようだ。現行「CT9」型ではファイナルとなるエボなのだが、まだまだ攻めの手を緩めてはいない。
IX MRでは、アイバッハのスプリングを投入。ビルシュタインダンパーのリセットで、しなやかにロールしながら旋回するようになった。ノーズがゆったりと沈み込み、前傾姿勢を作りやすくなった。AYCの容量がさらにアップされたことも加え、とにもかくにもよく曲がるマシンへと進化したのである。
乗り心地が改善されているのも特徴のひとつ。突起を乗り越えたときなどの不快な突き上げが薄れ、フラットライドに迫った。
乗り心地のいいエボなんて……とお嘆きの声も聞こえそうだが、旋回性能を際立たせた結果、乗り心地が改善されてしまったのだから、文句はあるまい! 最新のエボは最速であり、そして上質にエボなのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
木下隆之| モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。「ジェイズな奴ら」を上梓するなど、作家の肩書きも。