「これが次世代のクルマのボディ材ですよ」とトヨタ車体車両実験部の谷本隆一主査(工学博士)が語り、指をさしたのがなんとケナフという植物。ケナフはアフリカやインド原産の温帯・熱帯地方で生育するアオイ科の草で、半年で高さ3−4mに成長する。
トヨタは現在、グループあげて循環型社会の構築に取り組んでおり、リサイクル率95%の達成など資源の有効利用に力を入れている。植物にしても、なんとかクルマに利用できないかと研究開発を進めている。その結果生まれたのがケナフを利用したバイオプラスチック。
「余り知られていませんが、国内で生産されているトヨタ車の半分ぐらいにケナフ材が使われているんです。特にドアの内張にはだいたいケナフが使われていると言っていいでしょう。来年発売のレクサス『LS』にも使われます」と谷本主査。
しかし、まだまだ課題も多いようで、コストをこれまでの部材以上に下げ、性能を上げる必要があるという。そして、ゆくゆくはボディ材として使いたい考えだ。その谷本主査の横にはケナフでつくられたフェンダーが展示されてあり、塗装をすると、とても草からできたとは思えないほど。
愛知万博で話題になった、一人乗り未来コンセプトビークル『i-unit』(アイユニット)は、このケナフ材でボディがつくられていた。将来、ボディが草からできたトヨタ車が街中を走っているかもしれない。
(東京トラックショー、15日まで東京ビッグサイト)