インテリアにおける最大の特徴が、新素材の採用だ。荷室のフロアは取り外し可能な樹脂製を採用し、シートは撥水加工を施している。素材がデザインの大きな要素を占めているといっていいだろう。チーフ・プロダクトデザイナーの中島敦さんはいう。
「これまでアイディアはあっても、シートにはこんな素材は使われませんでした。耐久性もそうですが、やはりコストの問題が大きかったでしょう。国産車の場合、シートはお金がかけられなかったですから」
シート素材の商品名はいえないそうだが、従来品の転用ではなく、新たに開発した専用素材とのこと。スポーツシートの座面に配したドット状のエンボス加工は、量産車ではこれまで見られないもの。独特の光沢がある素材特性を生かしたデザインだ。
随所に採用されたグラファイトやメタリック以外にも、ゴムをはじめさまざまな素材の研究や試作が進められた。今後は新素材が新しいカーデザインを生み出すことも多くなるだろうと中島さん。確実に日産のモノづくりは変わってきているようだ。