ハイブリッドのSUVだと? そんなもん走るのかよ! と思いたくなるけれど、コイツがじつに元気に走るから驚き。半端なSUVなんて、軽く蹴散らす勢いなのだ。
車幅が1815mmにまで拡大されたのは、BMWによると「ドイツ人の体格が年々向上しているため」なんだそうだ。ドイツってもともと巨人国なのに、まだデカくなってんのかよ! と、BMWよりまずドイツ人にビックリ。
アクセルオンの瞬間からドカンと背中を蹴飛ばされ、そのままエンジンの回転数と無関係に続く息の長い強力加速感はちょっと異次元の快感。
『Z4』やら『1シリーズ』を見慣れた目からすると、そのルックスは予想と期待以上にコンサーバティプな印象。とくにちょっと距離をおいて真後ろからついて行くと、今は亡きカリスマやらランサーといった三菱車と何故か見分けが付き難かったりして…。
新搭載の3MZ-FE型V型6気筒3.3リッターエンジンは、ハイブリッド向けらしく効率のよいエンジンに仕上げられており、吹け上がり、パワーフィールとも申し分ない。パワーフィールに関しては電気モーターとの合算になるため、相当にというか強烈なパワフルさを感じさせる実力である。
『320i』の直列4気筒2.0リッターエンジンは110kW/200Nmのパワー&トルクを発生し、走りと燃費のバランスの取れたエンジンに仕上がった。ボディが大きく重くなったものの、運動性能には不満を感じない。
最近トヨタのハイブリッド路線は、世間の先入観をバリバリ塗り替え中。「燃費いいだけじゃなく、ガンガン走るんです」がそのテーマで、とうとうその波がSUV界にも及んできた。
なにしろ「ベンツ・ビーエム症候群」が蔓延している日本だから、ブランドがブランドだけに説得力あり。とりあえず無理にでも納得してしまう自分に気付く。
運転席に座ると、スピードメーターの左側はタコメーターかと思ったらkWの表示計がある。これだけでもハイブリッド車に乗ったというインパクトがある。
運転席のシートはこれまでよりちょっと大きくなり、シートバックも背が高くなって胴長の日本人でもシートの収まりはよいはずだ。リヤシートのシートも座りやすい。最近バックレストの上部が後ろへ逃げているクルマが多くなったが、『3シリーズ』はリヤシートでもバックレストが背中の上の方までカバーしてくれるから安心感がある。