ヤマハ発動機は、電動車いす「JW」の駆動ユニットを用いた搬送支援ツール「PAXIS(パクシス)」を12月3日に開幕する「2025国際ロボット展」に出展すると発表した。
PAXISは、さまざまな重量物の搬送作業を省人・省力化するソリューションとして、同社の物流倉庫では約20年前から活用されており、現在では組立工場など至る所で稼働している。
11月9日に閉幕した「ジャパンモビリティショー2025」のヤマハ発動機ブースでは、管楽器ガールズユニット「MOS」のパフォーマーを乗せたステージ演出で注目を集めた。誘導の女性がラクラクと片手で引っ張ることができるのは、PAXISを装着しているからだ。
使用環境等に合わせて、「押す搬送」と「引っ張る搬送」を1台でこなせることも特長開発の指揮を執った設備技術部の梶原幹夫氏は「電動車いすを動かす力として、長い時間をかけて鍛えてきた堅固なつくり、屋内外問わない走破性、人との調和や扱いやすさを大切にした制御など、タフネスと繊細さを兼ね備えている」と製品の信頼性を強調する。
ロボティクス事業部の星健太郎氏は「単体でお使いいただくことはもちろん、産業用ロボットや無人搬送車、また通信などとの組み合わせで、遠隔操作・状態監視などへの発展性も秘めている」と話す。より導入しやすいお試しプランなども検討しているという。
活用フィールドは工場や物流倉庫に主眼が置かれているものの、可能性はさらに広がっている。星氏によると、中山間地の栗農園でも試用され、斜面の狭い道を高齢の農家が肥料を乗せて運んだところ、製品化への期待が寄せられたという。
国際ロボット展に出展する電動アシスト台車「PAXIS」
「農業や屋外インフラ作業の現場、さらにアミューズメント施設も含めて、運ぶという作業があるところには必ず需要があると思う」と星氏は続ける。
同社設備技術部やロボティクス事業部、JWビジネス部では、オールヤマハで事業化を実現しようと取り組みを進めており、その一環として国際ロボット展への出展を計画している。





