ホイールにはさまざまな種類があるが、その中でも今回テーマにするのが1ピースホイールと2ピースホイールの違いである。
この1ピースホイールはその通りひとつのアルミの素材からできているホイールのこと。2ピースホイールはリムとディスクを溶接したりネジで留めているホイールのこと。実はそれぞれにメリットとデメリットが存在する。
◆1ピースホイールと2ピースホイールの基本構造
1ピースホイールはその名の通りひとつの素材からできているホイールで、一般的な構造のホイールである。対する2ピースホイールはディスクとリムを別々に製造し、それを組み立てているものを指す。代表的なモデルとしてはBBSのLMのようにディスクとリムをネジで留めているモデルがある。
剛性面などで言えば1ピースの方が有利で、重さの面でも別々に作ったものをネジでつなぐ2ピースホイールの方が不利である。ではなぜそのようなホイールが生まれたのか。そこにはインセットが細かく調整できるというメリットがあるためだ。例えばリムを何種類か作っておけば、同じディスクを組み合わせるだけでインセットを比較的簡単に調整できる。
◆レーシングカーが2ピースホイールを採用した理由
これは1980~90年代のレーシングカーで多く使われていた手法である。マツダの「787B」がルマン24時間耐久レースを制した頃、当時のグループCカーの多くは2ピースホイールを使っていた。その狙いは、セッティングパーツとしてリムとディスクを組み替えることでインセットを調整し、ハンドリングを変えることができるというメリットだった。
ただし、現在の市販のホイールでユーザーがこのリムとディスクのネジを緩めて外し、違うものと組み換えるのはNGである。そこには厳密な取り付け方法やトルク管理などがあるため、ホイールメーカー側は絶対に行わないよう指示している。
したがって、現在においては、そういったネジ止めの2ピースホイールのセッティング幅が広いというメリットを得ることはできない。ただし、ホイールメーカー側で製造するときに、一般的な1ピースホイールに比べて幅広いインセットから選ぶことができる。
◆SSRのオーダーインセットで理想のツライチを実現
日本のホイールメーカーであるSSRでは、このリムとディスクをネジ止めしたモデルもあれば、溶接止めのモデルもある。また、SSRの特徴はオーダーインセットが可能なことである。この溶接止めの位置を調整できるため、1mm単位でインセットをオーダーして発注することが可能。それでいて価格はわずかなアップでオーダーインセットができるため、スペーサーを入れずにホイールのツライチ具合をバッチリにしたいというカスタムユーザーから、熱い支持を受けている。
組み立てホイールでは、2ピースの上にさらにリムが分割式の3ピースホイールも存在する。それらも基本的な構造は同じで、細かくインセットを選べるのがメリットである。また、この2ピース構造の深いリムはカッコイイという人も多い。そういった面で、見た目から2ピースホイールを選ぶ人もいる。
スポーツ性能だけを求めるのであれば、現代では正直2ピースホイールにこだわるメリットはない。1ピースホイールが軽量で高い剛性を持ち強度も高く作りやすい。しかし、バッチリ決まったインセットに設定したり、2ピースならではの深リム感を楽しむなど、2ピースホイールでしか得られない満足もあるのも事実だ。








