中国のEVメーカー小鵬汽車(XPENG、シャオペン)は、香港で開催されたブランド発表会でMPV『X9』改良新型を世界初公開した。
改良新型X9の特徴として、業界初となる「ゼログラビティシート」を全車標準装備した。前席でもゼログラビティ(無重力)モードを使用でき、乗り降りの利便性と快適性を両立させている。また、第3列シートは180度まで電動リクライニングが可能で、従来のMPVでは軽視されがちだった後部座席の快適性も追求している。
室内空間も大幅に拡大され、2列目は航空機のビジネスクラス並みのスペースを確保。3列目は7.7平方mの「魔方大空間」と呼ばれる広々とした空間を実現した。さらに、第3列シートは電動で収納可能で、ワンタッチで4人乗りの広々とした空間に変更できる。

走行性能面では、全長5.4mながら業界最小の回転半径5.4mを実現。狭い道路や駐車場でも扱いやすい設計となっている。また、AIを活用したサスペンションシステムにより、1秒間に1000回の路面スキャンと200回のサスペンション調整を行い、乗り心地を向上させている。
バッテリー技術も進化し、全車種で800V高電圧SiCプラットフォームを採用。充電13分で400km以上走行可能な急速充電に対応し、電費は同クラス最低の16.2kWh/100kmを達成している。
安全面では、前後一体型アルミニウム製ボディ構造や14項目のアクティブセーフティ機能を搭載。バッテリーパックには防弾装甲を採用し、高い安全性を確保している。

内装には21.4インチの大型エンターテイメントディスプレイやカラオケ機能、220V電源、10.8リットルの大容量冷蔵庫など、快適性を高める装備が充実している。
2025年下半期にX9を欧州市場に投入し、グローバル展開を加速させる計画だ。同社は世界60カ国・地域での販売を目指し、グローバルなAI自動車メーカーとしての地位確立を狙っている。