日本郵便、ヤマト運輸を提訴…小型薄物荷物の運送委託巡って

日本郵便がヤマト運輸を提訴。写真日本郵便の宅配便(参考画像)
  • 日本郵便がヤマト運輸を提訴。写真日本郵便の宅配便(参考画像)

日本郵便は12月23日、ヤマト運輸を相手取り損害賠償等請求訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した。両社は2023年6月に「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」を締結し、協業を進めてきたが、ヤマト運輸が小型薄物荷物の運送委託について一方的な停止を通知したことから、訴訟に至った。

両社の協業は、いわゆる「2024年問題」や環境問題など、物流をめぐる社会課題の解決を目的としていた。メール便領域では、ヤマト運輸のクロネコDM便を2024年1月31日に終了し、新サービス「クロネコゆうメール」の取り扱いを開始した。

一方、小型薄物荷物領域では、ヤマト運輸の「ネコポス」サービスを2023年10月から順次終了し、2025年2月から全地域で新サービス「クロネコゆうパケット」を利用できるようにする計画だった。しかし、ヤマト運輸側のシステム対応や顧客対応の遅れにより、移行は当初計画を大幅に下回る状況が続いていた。

2024年10月、ヤマト運輸は日本郵便に対し、2025年1月から当面の間、運送委託を停止する計画変更を申し入れた。日本郵便はこれを承諾していないが、ヤマト運輸は合意に基づく運送業務の委託義務の存在自体を争い、一方的に委託の停止を進めようとしているという。

この状況を受け、日本郵便は基本合意における合意内容である小型薄物荷物の運送委託についてヤマト運輸が履行義務を負うことの確認を求めるとともに、これが履行されない場合の損害の賠償を請求すべく、訴訟を提起した。

この訴訟により、2025年2月を予定していた日本郵便の配送網を活用した両社による投函サービスの全国展開は、予定通りの実施が困難となる見込みだ。

物流業界では深刻な人手不足や環境負荷低減の要請が高まる中、大手企業間の協業が注目されていた。今回の訴訟は、業界再編の動きに水を差す形となり、持続可能な物流サービスの実現に向けた取り組みにも影響を与える可能性がある。

《森脇稔》

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