1台限りのフェラーリ、『SP-8』発表…ルーフのないロードスター

フェラーリ SP-8
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フェラーリは10月24日、1台限りのオープンカー『SP-8』(Ferrari SP-8)を欧州で発表した。台湾のクライアントの要望に沿ってデザインされたフェラーリの最新ワンオフモデルになる。


◆未塗装のカーボン製フロントエンド

SP-8の最もユニークな特長は、ルーフがないこと。あらゆる点で純血のサラブレッド2シーター・ロードスターであり、そのスポーティなキャラクターと、ひと目で興奮をかき立てるビジュアル、オープンエアならではのドライビングエクスペリエンスが強調されているという。

このデザインを実現するには、エアロダイナミクス面の開発が必要だった。流体解析(CFD)シミュレーション、風洞実験、サーキットでの走行テストを重ねた結果、ベースモデルに匹敵する音響快適性が保証され、同じように風の感触を楽しめる、と自負する。

スタイリングでは、ボディの各部分が交差し、融け合う様子が中心テーマとなっている。未塗装のカーボンファイバー製フロントエンドがテールまで回り込み、ツートーンに見える効果を生み出して、色と素材の両方がコントラストを追求した。リトラクタブルハードトップを廃止したことによって、デザイナーはテールセクション全体のスタイルを見直し、引き締まったベルトラインを持つひとつのフォルムにまとめ上げた。

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◆ベース車両のF8スパイダーから多くの部分を再設計

ボディは大きく2分割され、さまざまな機能が集まった中央エリアでつながっている。このマットブラックの部分にあるサイドエアインテークは、インタークーラー用とエンジン用に独立したダクトを持つ。この帯の上部には、エンジンコンパートメントからの排気口を設けた。その縦方向のエレメントは、かつてのフェラーリによく見られた横方向のストレーキをインスピレーションにしている。

フロントには、フルワイドのアルミ鋳造グリルを採用した。このグリルは、3Dプリントで作られた単体の型を使って製作された。グリルにも同じストレーキのテーマが採用されている。こちらは垂直方向で、正面から見ると間隔がサイドに向かって少しずつ広がっており、これが左右のフロントラジエーターへ気流をスムーズに導く。このエレメントの角度は、フェラーリ・スタイリング・センターとエアロダイナミクス・チームとの緊密な連携によって最適化された。チームはCFDを駆使して何か月もかけてデザインを磨き上げたという。

SP-8では、多くの部分がベース車両の『F8スパイダー』から再設計された。ヘッドライトは特別なマスクとレンズを備え、テールライトは『ローマ』用をベースにレンズを特殊仕様とした。さらに、ウィンドスクリーン、『296 GTB』と同じ処理が施されたテールパイプ、マットなグリジオNARTの専用カラーで仕上げたホイールも装備している。

フェラーリ SP-8フェラーリ SP-8

◆5本スポークのホイールは『F40』がモチーフ

特殊な形状をした5本スポークのホイールは、この1台のための専用デザイン。フェラーリのスポーツ・プロトタイプや伝説的な『F40』に採用されていたクラシックなリムを、現代風にアレンジしている。深く彫り込まれた部分と、軽量化のために設けられた大きな開口部が、ホイール全体の美しさと切り離せないデザインの一部となっているという。

車内では、センターコンソールに変更が加えられた。『SF90ストラダーレ』以来、フェラーリに採用されているF1ギアボックス・コマンドを装備した。そのために、シフトゲートをワンオフモデルのために変更した。シートは、レーザーエッチングを施したネイビーブルーのアルカンターラのディテールと、グラデーション効果のあるクロスを組み合わせている。さらに、カーペットは玉虫色に見える特殊なツイル織りとした。

マットなボディカラーは、SP-8のために特別に作られた「アルジェント・ミカリッザート」だ。光沢のある玉虫色のブルー・サンドストーンで、カーボンファイバー部分は仕上げられた。2つのボディワークをつなぐ色「ブルー・スクーロ・ステッラート」も、特別に開発されたものだ。

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◆ミッドシップに3.9リットルV8ツインターボ搭載

ミッドシップに搭載されるのは、F8スパイダー譲りの排気量3902ccのV型8気筒ガソリンツインターボエンジンだ。F8スパイダーの場合、最大出力は720hp/8000rpm、最大トルクは78.5kgm/3200rpmを獲得する。0~100km/h加速を2.9秒で駆け抜け、最高速は340km/hに到達する。

このエンジンは、ターボラグを感じさせることなく720hpの出力を発揮し、同時に刺激的なエグゾーストサウンドを奏でる。自然吸気エンジンに匹敵するこの瞬発力には、先進のビークルダイナミクスソリューションが貢献しているという。

《森脇稔》

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