普通二輪免許で乗れる400ccトライアンフが登場!年末の日本上陸に先駆けて、イギリスで跨ってみた

チーフ・プロダクト・オフィサーのスティーブ・サージェントさん(左)にお話を聞くことができた。もちろん日本市場も強く意識している。
  • チーフ・プロダクト・オフィサーのスティーブ・サージェントさん(左)にお話を聞くことができた。もちろん日本市場も強く意識している。
  • 生産はトライアンフとパートナーシップを結ぶインドのバジャージが担当。スピード400とスクランブラー400Xの質感はとても高い。
  • BIKE SHED LONDONはロンドン市内にあるバイクカルチャー発信のスペース。欧州とのバイク文化の違いを痛感。
  • 発表会の直後は、皆が順番で跨っていく。今回の発表会には多くの女性インフルエンサーが参加していた。2台の400は軽量&コンパクトで女性や小柄なライダーにも馴染みやすい。
  • 今回はロンドンからバスで2時間半ほど移動し、ヒンクリーにあるトライアンフ本社も訪問。本社にはミュージアムも。
  • トライアンフはこれまでに様々な映画で活躍。また、多くの著名人が愛用してきた。そのブランドフィロソフィーが今回の400にも受け継がれている。
  • 筆者は身長165cm、体重65kg。スピード400のシート高は790mm。車体重量は170kg。取り回しも簡単で、ポジションはとてもリラックスしたもの。
  • スピード400のタイヤサイズはフロントが110/70 R17、リヤが150/60 R17。ハンドルを含む車幅は814mm。足着き性は見た目より安心感がある。

つい3週間ほど前に、トライアンフ松本のオープニングイベントでトライアンフCEOのニック・ブロアー氏が来日。「トライアンフから小排気量モダンクラシックモデルが登場する」という思わせぶりな発言をし、短かい動画も見せてくれた。その真相を確かめるために僕はイギリスのロンドンに向かった。

今回はロンドンからバスで2時間半ほど移動し、ヒンクリーにあるトライアンフ本社も訪問。本社にはミュージアムも。今回はロンドンからバスで2時間半ほど移動し、ヒンクリーにあるトライアンフ本社も訪問。本社にはミュージアムも。

普通自動二輪免許で乗ることのできるトライアンフが登場すれば、それはこれまでのトライアンフのラインナップの中でもっとも日本の市場にフィットする1台になるに違いない。


◆日本市場を本気でロックオン!400ccのトライアンフ

日本でオンライン発表会に参加し、画面越しに『スピード400』と『スクランブラー400X』を確認してはいたものの実車を見るまではなんとも言えない。今回の2台の400ccは、インドのバジャージとパートナーシップを結び、生産をするのだという。ヒースローの空港に到着し、ロンドンまでの道中の街並みを見ると、モダンクラシックが映えそうなシーンがたくさんある。イギリスの市街地で発表会が行われるのも納得である。この街並みに似合う400ccとはどんなモデルだろう。そのクオリティはどうなのだろう?。考えるほどに期待が高まっていく。

発表会が行われたのは鉄道の高架下にあるBike Shed LONDON。アパレル販売、飲食店、理髪店、さらにはカスタムバイクの制作や展示までが行われる、日本では考えられないようなバイクカルチャーの発信スペースだ。

BIKE SHED LONDONはロンドン市内にあるバイクカルチャー発信のスペース。欧州とのバイク文化の違いを痛感。BIKE SHED LONDONはロンドン市内にあるバイクカルチャー発信のスペース。欧州とのバイク文化の違いを痛感。

会場には様々なバイクが集まり、ユーザーの世代も様々。奥のイベントスペースに足を運ぶと、ニック・ブロアCEOを初め、チーフ・プロダクト・オフィサーのスティーブ・サージェント氏など様々な開発陣の顔を見ることができた。そして2台のバイクにカバーがかけられている。

◆完成度の高さにライバルは戦々恐々?

2020年、トライアンフはインドのバジャージと長期的なパートナーシップを締結。それがようやく身を結ぶことになった。スティーブ・サージェント氏に話を聞くと、今も資本関係はなく、純粋にコラボレーションのパートナーとして競業しているとのこと。バジャージを選んだのは技術力の高さと生産能力の高さ、そして様々なライダーが手の届きやすい価格でハイクオリティなバイクを生産できるメーカーだからだという。

発表会の直後は、皆が順番で跨っていく。今回の発表会には多くの女性インフルエンサーが参加していた。2台の400は軽量&コンパクトで女性や小柄なライダーにも馴染みやすい。発表会の直後は、皆が順番で跨っていく。今回の発表会には多くの女性インフルエンサーが参加していた。2台の400は軽量&コンパクトで女性や小柄なライダーにも馴染みやすい。

アンベールされたばかりのスピード400とスクランブラー400Xをじっくりと見る。確かにクオリティはかなり高い。エンジンとフレームの関係やサスペンション装着方法に妥協はなく、それはスポーツバイクの仕上がり。2台とも900ccや1200ccのモダンクラシックをしっかりと踏襲している。僕がいちばん懸念していたのはクオリティの面だったが、それは杞憂に終わった。それどころがこの仕上がりは多くのメーカーが脅威に感じるはずで、ライバルはその販売価格次第で戦々恐々とするに違いない。

「開発においてはトライアンフが車体の寸法やエンジンの排気量などを決めました。サイズ感やスペック、必要なハンドリング性能やエンジン性能をバジャージに伝えたんです。デザインはトライアンフで行い、ディテールなどの開発はバジャージと一緒に行っています。フレームの開発はトライアンフで行い、プロトタイプはトライアンフが制作。排気量を400ccにしたのは、様々なメーカーの競合となる250cc~600ccを調べ、その結果400ccがいちばん競争力が高いと思ったからです。もちろん日本のバイクの免許証の区分が400ccで変わることも知っていますよ」とサージェントさん。

◆スピード400とスクランブラー400Xに跨ってみた

生産はトライアンフとパートナーシップを結ぶインドのバジャージが担当。スピード400とスクランブラー400Xの質感はとても高い。生産はトライアンフとパートナーシップを結ぶインドのバジャージが担当。スピード400とスクランブラー400Xの質感はとても高い。

実際に目の前にしたスピード400とスクランブラー400Xは、まさにこれまでのモダンクラシック直系と言ってよく、細部の作り込みや塗装の仕上げはとても良い。インドのバジャージで生産されているものの、これはどこから見てもトライアンフだ。

TR(トロフィー)エンジンと呼ばれる水冷シングルエンジンは、高さを抑えたコンパクトな作りで車体設計やデザインの自由度が高い形状。最新鋭の技術が与えられたショートストロークエンジンで、パワーは40psを発揮しギヤは6速まで装備。ホンダの『GB350』とロイヤルエンフィールドの『ハンター350』は20psで、ともに5速。約50ccの排気量のアドバンテージがあるとはいえ、トライアンフの400はスタイルだけでなくパフォーマンスも持ち合わせていることがよくわかる。

跨ってみる。ちなみに僕は165cm/65kg。スピード400はまるで昔から知っていたような自然なポジション。安心感があり、違和感がどこにもない。これまでに乗ったことがあるような懐かしささえ感じる。足着き性に関しても両足がきちんとつく。サイドスタンドの傾きは思ったよりも強いが、取り回しも簡単。この日は多くの女性ライダーが跨っていたが、とてもよく似合っていた。

筆者は身長165cm、体重65kg。スピード400のシート高は790mm。車体重量は170kg。取り回しも簡単で、ポジションはとてもリラックスしたもの。筆者は身長165cm、体重65kg。スピード400のシート高は790mm。車体重量は170kg。取り回しも簡単で、ポジションはとてもリラックスしたもの。

スクランブラー400Xのポジションは、スピード400よりもサスペンションストロークを伸ばし、フロントホイールを大径化、ハンドルもワイドにしているのでスピード400より大柄だ。両足を着こうと思うと僕の場合つま先がツンツンだが、車体が細く軽いため、見た目ほどの不安はない。どちらかに腰をオフセットし、片足をきちんと着けば、市街地で困ることはなさそうだ。よく動くサスペンションと合わせて、軽いオフロードにも飛び込めそうな気がしてくる。

スクランブラー400Xは、シート高が835mmあり、スピード400よりも大柄なポジション。車体重量は179kg。サスペンションのストロークもスピード400より長めに設定されている。スクランブラー400Xは、シート高が835mmあり、スピード400よりも大柄なポジション。車体重量は179kg。サスペンションのストロークもスピード400より長めに設定されている。

細部を眺め、跨り、触って感じたトライアンフのスピード400とスクランブラー400Xには、はっきり言って大きな期待しかない。価格次第では多くのライダーを育んでくれるに違いないし、このクオリティとスペックならベテランのダウンサイジングにもマッチするはずだ。

「この2台以外にも400シリーズが出るんですか? スラクストンとか、またはタイガーとか……」とサージェントさんに聞くと「わかっている。わかっているよ(笑)。でも今はこの2台に集中して!」との答えが返ってきた。しばらくトライアンフから目が離せなくなりそうだ。

《小川勤》

モーターサイクルジャーナリスト 小川勤

モーターサイクルジャーナリスト。1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

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