フォルクスワーゲン(VW)は現在、世界のベンチマーク『ゴルフ』改良新型を開発中だが、ユーロ7排出ガス規制が現在の形で承認された場合、マニュアルトランスミッションが廃止される可能性が高いことがわかった。
ゴルフ改良新型は2024年に発売予定で、前後エクステリアデザインの刷新、インテリアの改良などが含まれるが、欧州の新しい規制の結果次第では、最も根本的な変更がマニュアルトランスミッションの廃止となり、オートマチックつまりDSGのみとなるかもしれないという。
ユーロ7排出ガス規制は、内燃機関車両からの二酸化炭素排出を規制するものだ。同ブランドによると、マニュアルトランスミッションのホットハッチ「ゴルフGTI」は、オートマチックバージョンの160g/kmと比較して、162g/kmのCO2 を排出するといい、 非常にわずかな違いではあるように見えるが、大きな影響を与えるようだ。
ユーロ7は自動車メーカーからの大きな批判を受けており、ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、新基準は自動車価格に悪影響を及ぼし、顧客や環境に利益をもたらさないため「役に立たない」とまで断言している。
ヨーロッパでは、DSGを搭載したゴルフの価格は、マニュアルトランスミッション車より約1,642ドル(約23万円)高い。ゴルフGTIの価格が31,000ドル(約436万円)から始まることを考えれば高くはないが、初代GTIから約50年間製造され続けたマニュアルトランスミッションの消滅はマニアにとって一番の衝撃となるはずだ。
オリジナルのGTIは、「Mk1ゴルフ」のパフォーマンスバージョンとして1975年に登場、当初はクロスレシオの4速マニュアルが装備されていたが、1979年に5速ギアボックスが追加された。そして1983年に米国市場に導入されるまでに、多くの改良が加えられた。 1.6リットル直列4気筒からは、かろうじて最高出力110psを発揮、最高時速は113マイル(181km/h)だったが、当時としては速かった。
法案が変更された場合、フォルクスワーゲンが欧州でマニュアルトランスミッションに執行猶予を与えるかどうかは不明だが、次期ゴルフにICEバージョンは計画されていないため、法案の結果に関係なく、その変更は遅かれ早かれ起こるものとみられる。