「走らないバイクには興味がない」往年のレーサーをモチーフに仕上げた『ロイヤルエンフィールド・改』のスゴ味…東京モーターサイクルショー2023

ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)
  • ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)
  • ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)
  • ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)
  • ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)
  • ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)
  • ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)
  • ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)
  • ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)

ロイヤルエンフィールドブースで一際注目を集めるマシン。ベースモデルが何なのかわからないほどカスタムが施されたそのマシンからは、近寄りがたいオーラが放たれていた。

◆ロイヤルエンフィールド直々の依頼で造られたコンチネンタルGT650カスタム

「ロイヤルエンフィールド・改」と藤田浩一氏「ロイヤルエンフィールド・改」と藤田浩一氏

『コンチネンタルGT650』をベースとしたそのマシンは、名古屋にて「AN-BUカスタムモータース」を営む藤田浩一氏の作品。

藤田さんにロイヤルエンフィールドからカスタム制作のオファーがあったのは昨年の夏頃だったとのこと。面白そうな話だからと快諾した藤田さんであったが、すぐに作業にとりかかったわけではなかったという。

「普段は完成図を描いたりはしないんだけど、今回は完成時のイメージを見せて欲しいと言われてたからあまりやらない絵を描いたりしてね。片手間で出来るような仕事じゃないから、まずは集中できる時間を作れるように段取りして。とはいってもお客さんの仕事をあんまり待たせるわけにはいかないから、昨年中にある程度仕事を片付けて、今年に入ってから本格的に作業を開始したよ。」

ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)

ブランドを背負ってマシンを造るということにプレッシャーはなかったのだろうか。

「やっぱりあったよね。ロイヤルエンフィールドのカスタムマシンもいろいろ調べてみたらみんな頑張って作っている。自分もヘタなものは作れない。でも良い緊張感があって集中して出来たよ。」

藤田さん流のポリシーはどの辺りに込められているのだろうか。

「カスタムって人それぞれでしょ。お客さんからいろいろ希望を聞いて、それを具体化していくんだけど、これはああした方が良いとか、こうした方が良いといったアドバイスはあまりしないようにしている。もちろん乗って危ないものは作れないけど、それ以外はその人の好みだからそれを否定するのは良くないと思っている。でも、今回は自分のバイクを作って良いって言われてたからやりやすかったし、楽しかったね。」

ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)

今回のマシンはどのようなイメージで作ったのだろうか。

「70~80年代のレーサーがモチーフだね。あの頃のバイクが個人的には好きだからね。それに依頼してくれたってことは、うちのカラーを全面に出していいってことだと思ったから好きなスタイルで自由に作ることが出来たね。」

◆藤田氏「走ってカッコ良いバイクを作りたい」…こだわり垣間見える裏話も

ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)

拘ったところ。苦労したところはについては。

「ショーバイクってあんまり好きじゃないんだよね。飾ってカッコ良いバイクじゃなくて、走っててカッコ良いバイクを作りたい。イメージするのはスピード感だね。でも普通に乗れることも大事。やっぱり飾るだけのショーバイクじゃだめなんだよ。」

シンプルな構造だから現代のバイクにしては作りやすかったという。とはいえ、フレームはガソリンタンク下をカットしてすべて作り直している。燃料タンクは1枚のアルミ板を叩き出しで制作。往年の耐久レーサー風のアルミタンクをきれいに載せるための大胆な加工であるが、元からこうであったかのように自然に収まっている。

リヤ周りもフレームを大きく加工してサスペンションの取り付け位置も変更。ステムもオリジナルで制作され、フォークピッチやオフセット量も変更。ディメンションも最適化されている。

ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)

じつは大阪モーターサイクルショーのあと、藤田さんは内緒でこのマシンをサーキットに持ち込んで走らせていたという。

「相談したら『ダメです!』って言うと思ったからね。」

走るバイクかどうかをしっかり確かめる意図もあった。大阪ではまっさらなタイヤであったが、東京モーターサイクルショーではきっちりサイドまで使い込まれていたのである。

「走らないカスタムは興味がない。」と語る藤田さんの真骨頂であろう。カーボン製カウルに隠されてとぐろを巻くようにレイアウトされたエキパイも圧巻である。

ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)ロイヤルエンフィールド・改(東京モーターサイクルショー2023)

「管長を稼いでトルクを出すという理由もあるし、見た目のインパクトという理由もある。それから音だね。長いパイプを通って吐き出される排気音は独特なものになるから。」

まさに見えないところにも拘りを持って制作されたマシンとなっている。ロイヤルエンフィールドの世界観とはまた異なった印象ではあるものの、それを許容できるマシンの懐の深さに加え作り手の技術とアイデアが見事に融合されたマシンとなっていた。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集