電動化+自動化に向けてモビリティ技術をステップアップさせるZF…CES 2023

LVCCウエストホールに構えたZFのブース(CES 2023)
  • LVCCウエストホールに構えたZFのブース(CES 2023)
  • ZFのプレスカンファレンス(CES 2023)。登壇者はZF取締役会メンバーのマーティン・フィッシャー博士
  • レベル4の自動運転が可能な次世代の電動シャトル(ZF/CES 2023)
  • 次世代の電動シャトルの車内。写真は筆者(ZF/CES 2023)
  • 自動運転シャトルの概念図
  • センサーが収集したデータはインフラやクラウドとの通信を可能にする「ZF Pro Connect」コネクティビティプラットフォームが担う
  • 新しいマルチドメイン対応型の新世代の高性能車載コンピュータ「ZF ProAI」
  • 「ZF ProAI」のメインボード

ZFはCES 2023に出展し、レベル4の自動運転が可能な次世代の電動シャトルを初公開。そのほか、新世代の高性能車載コンピュータ「ZF ProAI」や、電動車向けの装備として暖房電力を節約できるシートベルトなども披露した。

◆次世代レベル4シャトルは多様な動作環境に対応可能

世界初公開した次世代シャトルは、モビリティープロバイダーの米Beepと提携によって提供されるもので、米国内において数千台規模の自動運転レベル4に対応したシャトルを展開する計画だ。シャトルは、ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)のウエストホールのZFブースにも展示され、実際に内部へ乗り込むことができた。

このシャトルには8人分のシートが備わり、立ち席も入れると定員は最大で22名。車椅子での乗車に便利な自動スロープや、車椅子を固定するための安全ベルトも装備する。バッテリー容量は50kWh~100kWhから選択でき、航続距離は最大約130kmを走行できるという。

レベル4の自動運転が可能な次世代の電動シャトル(ZF/CES 2023)レベル4の自動運転が可能な次世代の電動シャトル(ZF/CES 2023)

このシャトルには正確な環境を検知するセンサーとしてLiDARやレーダー、カメラが搭載されている。そして、これらで収集したデータはインフラやクラウドとの通信を可能にする最新の「ZF Pro Connect」コネクティビティプラットフォームが担い、データ解析は車載コンピュータ「ZF ProAI」が務める。そして、ZFの自動運転ソフトウェア「Virtual Driver」がこれらの膨大な情報をAIが処理して車載アクチュエータにインプットし、人間のドライバーとしての役割を果たすのだ。システムには冗長性が持たされて、車両の全機能と操作性の信頼性を高めているのは言うまでもない。

また、すべてのZFコンポーネントとシステムは「Automotive Grade」認定を受けており、高い安全性と品質要件、サイバーセキュリティ基準も満たしているそうだ。

◆マルチドメインバージョンで限界を超える高性能コンピュータ「ZF ProAI」

その「ZF ProAI」は、新しいマルチドメイン対応型の新世代の高性能車載コンピュータとして誕生している。別々のボード上にあるドメインベースの先進運転支援システム(ADAS)やインフォテインメント、シャシー機能を一つのデバイスでサポートできるのがポイントで、特にADAS機能用QNXやインフォテインメント用のAndroid Autoなどは、複数のオペレーティングシステムを並行して処理できるようになるのは大きなメリットとなる。

新しいマルチドメイン対応型の新世代の高性能車載コンピュータ「ZF ProAI」新しいマルチドメイン対応型の新世代の高性能車載コンピュータ「ZF ProAI」

ZFではこれに対応するために全体的な処理性能を高めており、それは以前のモデルと比較して50%増となる最大1500TOPSを達成することになったという。また、ワットあたり5TOPSという非常に優れたエネルギー効率を提供できるのも特徴となる。ZFは早ければ2025年に新車プラットフォームの30~40%がドメインベース化されると予想していたが、まさにそれ裏付ける結果になったというわけだ。

ZFによれば、このポートフォリオはすでに市場投入の準備に入っており、1400万台以上もの受注を獲得。その受注はさらに増加する見込みだという。ZF自身もこれが将来の車両コンセプト構成要素を短期間で開発するための、重要な戦略と能力の証になると見ているようだ。

◆省エネ化を目指した接触型ヒーター「ZFヒートベルト」

ZFは車内暖房の省エネにつながるスマートなアイデアとして、「ZFヒートベルト」を世界初公開した。これは接触型ヒーターとも言えるもので、編み込まれたワイヤーを介して体の前面を暖め、わずか70Wのエネルギーで摂氏40度の最大表面温度を実現できる。取り付けは簡単で、ベルトリトラクターやプリテンショナーを調整する必要はない使いやすさも併せ持つ。ZFでは、シートヒーターやステアリングホイールヒーターなどの他の接触型ヒーターと組み合わせることで、車室内の暖房を低く設定でき、寒冷地での電気自動車の航続距離を最大15%延伸できるとしている。

◆生産台数5000万台突破、車載カメラでリードするZF

そして、意外と知られていないのがZFの車載カメラとの関わり合いだ。同社は自動車部品サプライヤーとしては最多の5000万台以上のカメラを生産しており、その生産拠点は米国イリノイ州マーシャルのほか、安亭(中国))、ピーターリー(英国)、チェンストホバ(ポーランド)で行われており、最近ではメキシコのモンテレイの新工場でも生産を開始したばかりだという。2022年にはサプライヤーとして初めて年間1000万台以上のカメラを製造する会社となったのも大きなトピックとして伝えられた。

ZFは自動車部品サプライヤーとしては最多の5000万台以上のカメラを生産ZFは自動車部品サプライヤーとしては最多の5000万台以上のカメラを生産

このカメラに関して見逃せないのが、モービルアイ社製EyeQプロセッサをベースに、カメラシステムを設計、開発、供給していることだ。ZFではこの技術を高度な物体認識技術のための革新的なスマートカメラシリーズとしている。これは長距離センシング機能を向上させる望遠レンズと、より広い視野で短距離センシングを向上させる魚眼レンズを組み合わせた業界初のプレミアム3眼レンズ「Tri-Camera 4」バージョンで、高度な部分自動運転機能の制御をサポートすることにつながったという。

《会田肇》

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