JR東日本と東京地下鉄(東京メトロ)は12月15日、無線式列車制御システムの導入推進へ向け連携することを明らかにした。

無線式列車制御システムは、一定の区間(一般的には駅間や駅と信号場間)で列車を排他的に在線させることで衝突や追突を回避する、いわゆる「閉塞方式」に代わって、無線システムを使って位置情報を取得し、列車を制御するもので、閉塞方式に必要な線路上に電気を流し、列車の在線位置を把握する軌道回路を必要としない。そのため地上設備の大幅な省略が可能となる。
JR東日本ではこの無線式列車制御システムについて、2011年10月から「ATACS(Advanced Train Administration and Communications System)」と呼ばれるシステムを仙石線あおば通~東塩釜間を皮切りに導入。2017年11月には埼京線池袋~大宮間にも導入され、2020年10月からは小海線(小淵沢~小諸)で地方交通線区向けの無線式列車制御システムが使われている。さらに山手線や京浜東北線東神奈川~大宮間ではワンマン化後のATACS導入が検討されている。

一方、東京メトロでは2018年度に丸ノ内線の方南町支線(中野坂上~方南町)で「CBTC(Communications-Based Train Control)」と呼ばれるシステムを仮設した試験運転を行ない安全性を評価しているが、さらに2022年12月には丸ノ内線四ツ谷~荻窪間で本格的な走行試験が開始されており、2024年度には丸ノ内線全線への導入を予定している。

両社はこれらのシステム導入へ向けて2020年6月に覚書を締結し検討を重ねてきたが、仕様が異なることから、今後は標準仕様の検討を行なうことで、導入のスピードアップや開発コストの低減、スマートな事業運営を目指すとしており、将来的には他の鉄道事業者との連携拡大を目指し、相乗効果を図る構えだ。