手軽に装着できて効果もあるというスロコンことスロットルコントローラー。しかし、気をつけるべき点もある。その使い方とメカニズムを解説する。
◆電子制御スロットルの普及でスロコンもメジャーに!
ここ20年のクルマは徐々に電子制御スロットルが採用されている。それまではアクセルペダルからワイヤーでスロットルバルブを直接操作するのが一般的だった。現在はアクセルペダル側のセンサーがその踏み込まれた量を信号にしてエンジン制御ユニットに伝え、その結果、ドライバーが欲していると思われる加速力を与えるために、スロットルバルブを開いて空気を入れ、燃料を噴射してプラグで点火している。
そのポイントはドライバーが欲しいと「思われる加速」を予測して、スロットルバルブが動いて、燃料を噴射して点火していること。この回転数のこの状況では、これくらいの加速をしたいのでは!? という予想による加速なので、それがドライバーのフィーリングと一致するとも限らない。もちろん、自動車メーカーでもあらゆるシチュエーションを想定して、その設定をしているがどうにもフィーリングと合わない車種も存在する。
これは推測だが意図的に踏んだ量よりも加速力を強くすることで、「パワーのあるクルマ」を演出していることもある。とくに高級セダンなどは発進直後にグワッと加速して「おお~力強いね~!!」という味付けをされている感じがする。逆に意図的に中間域の加速を弱めることで「燃費をよくするための対策!?」と思えるような味付けのこともあるのだ。
そんなスロットルを踏み込んだときの加減を調節できるのがスロコンなのである。取り付けるだけでアクセルを踏んだときにもっと加速を大きめにするようにしたり、逆にエコモードとしてアクセルを開きにくくしたりしているのである。車種によるが、ちょっと扱いにくかったアクセルが使いやすくなったり、かなり力強い加速を感じられたりと手軽なチューンとしての効果が期待できる。
◆やりすぎは要注意。エラーが出ることもある。
これはすべての車種に言えることではないが、スロコンによって問題が起きることもある。具体的にはアクセルレスポンスを良く設定しすぎることで、クルマのECUがエラーを起こしてしまう。詳しい原因は不明だが、現代のクルマは統合制御でアクセルの踏み込んだ量や、ガソリンの噴射量、前後G、加速力などまで総合的にデータを取得している。その過程で加速力がよくなりすぎたと、エンジンチェックランプが点灯してしまうことがあるのだ。
高速道路で走行中にエンジンチェックランプの点灯とともに、車両がフェイルセーフモードに入ってしまい、30km/hほどしか速度が出ず、トロトロと高速を降りたなんて話もある。その後、スロコンを外して、バッテリーを外して車両側をリセットすると何事もなく動いたという。車種やグレードによってマッチングに問題が起きることがあるので、装着後はまずは市街地で試し乗りなどをして、問題が起きないことをよく確認してもらうようにしたい。
ちなみにECU書き換えチューンができる車種では、スロコンと同じ機能をECU内部で行っていることが多い。内部のアクセルを踏んだときにどれくらい加速させるかの設定を調整することで、より乗りやすくナチュラルなフィーリングに仕上げるのもECUチューナーの腕の見せ所なのだ。そして、一部のECUチューナーの中には、このスロットルの設定のみをいじっている場合がある。実際はエンジン出力に関わる部分のマップは触らないか、もしくは技術的に触れないこともある。その代わりに踏み込んだ以上に加速させるように設定することで、あたかもパワーアップしたかのようなフィーリングにさせているのだ。
燃料噴射量や点火時期については調整しないのでエンジンが壊れる心配がなく、現車合わせなども不要なのでチューナーとして手がかからず儲かるのである。しかし、スロコンもそうだが、アクセルペダルのマップを変えただけだと、じわっと踏んだときにアクセルペダルの量以上に加速するというだけで、全開加速はほとんど変わらない。サーキットでのラップタイムもまず変わらない。それでECU書き換えチューンと同様の価格で売られていることが多く、詐欺ギリギリのラインなのである。
¥1,699
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)