日本製鉄の特許侵害提訴、トヨタ側「潔白証明」に躍起[新聞ウォッチ]

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「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」というが、どうもこちらの“舌戦”はそんな甘くはなく、長引けば“犬猿の仲”に発展しかねないのが心配だ。

鉄鋼最大手の日本製鉄が特殊鋼材の特許権を侵害されたとして、中国の宝山鋼鉄とトヨタ自動車を提訴した問題で、トヨタの幹部がオンラインで一部の報道陣の取材に応じ、今後の対応について「潔白を証明するだけ。最善の手を尽くしていく」と述べたそうだ。

きょうの読売や朝日などが報じているが、取材に応じたのは渉外・広報担当の長田准執行役員。記事によると、長田氏は、日鉄が提訴前に両社の社長同士で話し合う機会を持たずに提訴したことに不満を示し、「(トヨタの豊田章男社長は)非常に残念な気持ちになっていると思う」などと説明したという。

さらに、提訴されたことに関し「トップからトップへ一言あってもいいのではないか」と述べて、提訴前に日鉄の橋本英二社長から豊田社長に「仁義」を切るトップ同士のプロセスがなかったことも明かしたという。

各紙の見出しは、読売が「トヨタ『潔白証明』日鉄提訴に不満」。朝日は「トヨタ 日鉄提訴に争う構え、特許侵害の主張『潔白を証明』」。さらに、毎日は「『仁義』なき提訴 トヨタ苦言」。そして日経は「トヨタ・無実の説明に全力、日鉄・『知らず』通じない」と両社の主張をタイトルに取り上げて、「日鉄とトヨタが異例の“舌戦”を繰り広げている」と掲載。「特許法は製品メーカーだけではなく、販売企業にも厳しい責任を規定。注目の裁判は長期化も予想される」などと伝えている。

トヨタ側は「これまでも深い取引関係にある日鉄だけに、トップ同士で解決を図らなかったのが『残念だ』との主張のようだが、窓口の担当者による“根回し”ばかりではなく、有事に備えて、日頃から財界活動などを通してお互いの経営トップクラスが親交を深める努力が大切だったような気がしてならない。

2021年11月2日付

●自民幹事長に茂木外相、首相経済対策を中旬策定(読売・1面)

●トヨタ「潔白証明」日鉄提訴に不満(読売・9面)

●10月の新車販売前年比31%減(朝日・9面)

●京王線切りつけ、容疑の男供述「6月から犯行計画」乗員・乗客の情報共有課題(朝日・37面)

●三菱電機テレビ撤退検討、競争激化、採算厳しく(毎日・6面)

●大型蓄電設備テスラが販売(毎日・6面)

●首相経済対策表明、GoToトラベル再開検討(東京・7面)

●ホンダのS660、650台追加生産(東京・7面)

●スズキ、相良工場の操業一時停止(日経・17面)

●私の履歴書(2) 中嶋悟「何でもできる兄に競争心」(日経・48面)

《福田俊之》

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