スーパー耐久第5戦、水素エンジンカローラが3度目の挑戦…カワサキとトヨタが協力してオーストラリアから水素を供給

トヨタ自動車豊田章男社長
  • トヨタ自動車豊田章男社長
  • トヨタ自動車豊田章男社長(左)と川崎重工業橋本康彦社長
  • 水素エンジンカローラ
  • 川崎重工業橋本康彦社長
  • 佐藤恒治GAZOO Racing Company President
  • 懇談会の様子。左から佐藤恒治GAZOO Racing Company President、トヨタ自動車豊田章男社長、川崎重工業橋本康彦社長
  • 水素ステーション全景
  • 給水素の様子

鈴鹿サーキット(三重県)を舞台に9月18・19日の日程で開催されるスーパー耐久第5戦に、水素エンジンの『カローラ』が挑む。川崎重工業とトヨタ自動車が協力して、オーストラリアから水素エンジンの燃料を供給、サーキット内に水素ステーションを設置する。

スーパー耐久富士24時間(5月22~23日決勝)で初めてレースに登場した水素エンジンのカローラ。レースとしては格下のマシンよりも遅いなど、まだまだの結果だったが、レースカーとして水素エンジン車が挑戦できるということを示した歴史的な一戦となった。

オートポリス戦を経て水素エンジンは成熟。さらにパワーを引き出し、同じクラスに相当するマシンとも互角に戦える速さを身につけてきた。

18日にはスーパー耐久第5戦が行われている鈴鹿サーキットで、水素エンジンカローラのドライバー、モリゾウ選手(トヨタ自動車の豊田章男社長)、佐藤恒治GAZOO Racing Company President、川崎重工業 橋本康彦社長が登壇しての懇談会が開かれた。

豊田社長は「緒戦の富士ではガソリン車のマイナス10%の出力だったが、現在はガソリン車と同等のパワーが引き出せるようになった」「ガソリン車との違いはインジェクター(燃料噴射装置)だけだが、その性能が飛躍的に向上した」「給水素時間も富士では4分半かかったが、今回は2系統を使って半分の時間になった」など、この3戦での性能向上を説明。またこれは、市販車への技術に大きくフィードバックできると語った。

緒戦の富士では水素を「使う」ことに重点を置いていたが、2戦目の挑戦となったオートポリス(8月1日)では水素を「作る」領域で選択肢を拡げることに挑戦したという。そして今回は「運ぶ」ことに挑戦し、川崎重工と岩谷産業、J-POWERの3社が連携して、オーストラリア産の褐炭由来の水素を鈴鹿サーキットに運び込んだ。また福島県浪江町で太陽光を用いて作られたグリーン水素も使い、この2種類の水素で今回スーパー耐久第5戦を戦う。

カーボンニュートラルに向け、世界は電気自動車の開発が主流となってきている中、トヨタは電気自動車だけではなく、水素自動車に大きな力を注いでいる。今後、川崎重工と協力し安価に製造できるオーストラリア産水素の運搬料を増やすため、将来は大型の運搬船の開発も計画している。

モータースポーツの厳しい環境で水素エンジンの開発を進め、業界の枠を超えた幅広い枠組みで実社会に動力源としての水素を広める取り組みを、トヨタ自動車、川崎重工、岩谷産業、J-POWER、そして各協力会社が一丸となって取り組んでいくということだ。

《藤木充啓》

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