【WRC 第9戦】ロバンペラ20歳、2勝目を圧勝で飾る…復活のアクロポリス戦はトヨタの1-3

自身2勝目を飾った#69 カッレ・ロバンペラ(トヨタ)。
  • 自身2勝目を飾った#69 カッレ・ロバンペラ(トヨタ)。
  • 自身2勝目を飾った#69 カッレ・ロバンペラ(トヨタ)。
  • 優勝したロバンペラ(右)と、コ・ドライバーのヨンネ・ハルットゥネン(左)。
  • ロバンペラ組の勝利を喜ぶトヨタ陣営。
  • 2位の#8 タナク(ヒュンダイ)。
  • 3位の#1 オジェ(トヨタ)。
  • タイトル争いをリードしているセバスチャン・オジェ(今回3位)。
  • 復活のアクロポリス戦を終え、今季のWRCは残り3戦の予定。

世界ラリー選手権(WRC)第9戦“アクロポリス・ラリー”(ギリシャ戦)が現地12日にフィニッシュを迎え、トヨタの若侍、20歳のカッレ・ロバンペラが2戦ぶりの自身2勝目を飾った。トヨタ・ヤリスWRC勢は1-3フィニッシュで今季7勝目。

かつてはWRCお馴染みのグラベル(未舗装路)ラリーだった「アクロポリス」が、8年ぶりにWRCに帰ってきた。日本では“悪路ポリス”などと称されることもあった往年に比べると、おとなしめのコンディションでの戦いに(映像上は)見えた今大会だが、ほぼ圧勝といっていい展開でこれを制したのはトヨタの20歳、#69 カッレ・ロバンパラだった。

2戦前の今季第7戦エストニアでWRC最年少優勝ドライバーとなった#69 ロバンペラ。アクロポリスでは本格的な意味での競技初日だった金曜(10日)に首位に立つと、翌土曜にリードを拡大し、最終的には2位の#8 オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)に42.1秒差で自身2勝目を達成した。

#69 ロバンペラはボーナスポイントがかかる日曜の最終パワーステージ(PS)でも1位となり、ラリー優勝の25点とPS1位の5点で30点フルマーク勝利。今回のような独走の場合、ラリーの優勝を優先して最後のPSでは安全策を取ったりしそうにも思えてしまうところだが、この若武者はPSも“1位締め”して、勝ってみせている。

優勝した#69 カッレ・ロパンペラ(トヨタ)のコメント
「ギリシャで勝つことができて素晴らしい気分だ。正直なところ、本当に大変なラリーだったからね。多くのステージをレッキ(事前試走)で走り、夜は毎晩のように映像を見直すなど、非常に長い週末だった。このような結果でフィニッシュできて本当に嬉しいよ」

「金曜日の段階でクルマの調子は良かったんだけど、タイプが異なる土曜日のステージのためにセットアップを変更したところ、クルマはさらに良くなった。本当にいいフィーリングだったので、思いきり運転を楽しむことができたね。チームのみんなが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、クルマはトラブルフリーだった。本当に感謝している。次のフィンランドでも、今回と同じようなスピードで走れることを期待しているよ」

次のラウンド、母国戦である第10戦フィンランドの競技期間に21歳の誕生日(10月1日)を迎えるロバンペラ。20歳のうちに2勝目を飾り、これで初優勝から3戦連続表彰台だ(前戦は3位)。近未来の王者候補がその輝きを増し始めている。

なお、トヨタの豊田章男社長の祝賀コメントには、感染防止の目的もあってチーム本拠のひとつであるフィンランドのそれに残って遠隔参戦しているデータエンジニアたちが「カッレ(ロバンペラ)の車両からいち早く不具合を見つけ出してくれて、大事に至らず走り続けられたそうです。カッレの勝利をサポートしたみんな、今回の勝利をありがとう!」との内容がある。ロバンペラ自身はトラブルフリーだったとしているが、おそらく、トラブルになる前にその芽を摘むことができていた、ということだろう。

なんにせよ、今回のロバンペラは無双と評したくなる強さだった。

#1 セバスチャン・オジェが3位に入り、トヨタの今季7勝目は1-3フィニッシュとなった。4位はヒュンダイの#6 ダニ・ソルド。マニュファクチャラー部門タイトル争いでは逃げるトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)が397点、追うヒュンダイ(HYUNDAI SHELL MOBIS WORLD RALLY TEAM )が340点で、トヨタのリードが57点に開いている。

ドライバーズタイトル争いでは、ランキング首位の#1 オジェが3位に入ったのに対し、前戦終了時ランキング2位に同点で並んでいた#33 エルフィン・エバンス(トヨタ)と#11 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)は今回、金曜からトラブルに見舞われて上位を争えなかった。#33 エバンスは6位、#11 ヌービルは8位まで挽回してラリーを終えている。

今回終了時点でのドライバーズポイントの状況は、ランキング首位 #1 オジェが180点、2位 #33 エバンスが136点、3位 #11 ヌービルが130点、4位は今回フルマークの#69 ロバンペラで129点、となっている。2位に対するリードを44点に広げたオジェが、2年連続8回目のタイトルに向けて着実に前進した。

なお、トヨタ(TGR)のWRCチャレンジプログラムのドライバーで、今季はヤリスWRCで前戦までフル参戦していた勝田貴元は今回のアクロポリス戦に出走しなかった。これは彼のコ・ドライバーの家族に緊急の事情が生じたための急遽の不出走であり、勝田はアクロポリス戦のレッキには参加していた模様。今後に向けての財産はいくらか以上に蓄積できたものと思われる。

2021年のWRC、次戦は10月1~3日を競技予定日とする第10戦フィンランド。同国では今季第2戦も臨時・代替的に開催されているが、こちら(第10戦)は例年夏場に実施されているラリーで、通常より約2カ月遅れでの開催になる。

また、先般のラリージャパン中止決定に伴う代替戦が決まり、今季第12戦として11月19~21日にイタリアの“ラリーモンツァ”が2年連続のWRC最終戦開催を迎えることになった(第11戦はスペインで10月14~17日に開催予定)。

*上記の順位や日程等は、日本時間13日14時の段階の掲示や情報等に基づく。

《遠藤俊幸》

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