ホンダは8月19日、ホンダ車のリアルタイム走行データを活用し、渋滞路と迂回路の所要時間を計算して道路上に表示する「旅行時間表示サービス」の有償提供を、今月から始めたと発表した。日本の自動車メーカーでは初めての事業となる。
このサービスを導入する顧客は当初複数件で、今秋から立ち上げる予定。ホンダは2017年12月に、走行データなどを活用した事業「ホンダドライブデータサービス」を開始しており、渋滞対策、都市計画、防災、交通事故防止などの社会課題の解決につなげている。
これらの事業ではコネクテッドサービスを受けている約370万台のホンダ車から集まる走行データや車両挙動データなどを活用し、さまざまな企業や自治体向けに個別のソリューションを提供している。
今回の新サービスは、渋滞路と迂回路それぞれの目的地までの所要時間を表示することで、ドライバーに迂回を促し、交通量を分散して渋滞の低減につなげる狙い。表示される所要時間は、過去30分間の走行データから算出し、リアルタイム性を高めている。また、設置する表示機の提供など、パッケージ型サービスとすることで、より多くの企業や自治体が導入しやすくしたという。
サービスの事業化などを担当するモビリティサービス事業本部・コネクテッド事業統括部の船越允維氏は、19日のオンライン説明会で「高速道路や一般道路などを問わず、また設備投資をすることなく(移動可能な)表示機を設置するだけで導入できる。観光地やイベントなどでのスポット的な活用にも向いており、効果の定量的な評価も可能」と、利点を挙げた。
ホンダは20年秋に栃木県とともに紅葉シーズンの日光で実証実験を行い、19年の同時期との比較で、通行の最大所要時間が半減できたことなどを確認している。船越氏は、サービスの本格開始に際し「日本各地でご利用いただくことで、渋滞対策という社会課題の解決につなげていきたい」と話している。