メルセデスベンツ Sクラス 新型にPHV、EVモードは113kmと2倍以上に…今秋欧州発売へ

PHVシステム全体で510hpのパワーと76.5kgmのトルク

第2世代の「MBUX」

音声アシスタントの「ハイ、メルセデス」がバージョンアップ

メルセデスベンツ Sクラス 新型のPHV「S580e」
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メルセデスベンツは、新型『Sクラス』(Mercedes-Benz S-Class)のプラグインハイブリッド車(PHV)の受注を欧州で開始し、今秋現地で発売する。7月21日、メルセデスベンツが発表した。

PHVシステム全体で510hpのパワーと76.5kgmのトルク

新型SクラスのPHVは、「S580e」グレードだ。第4世代のPHVパワートレインの「EQパワー」を搭載する。3.0リットルガソリンターボエンジンは、従来型のV型6気筒から、新型では直列6気筒のM256型に変更された。最大出力367hp/5500~6100rpm、最大トルク51kgm/1600~4500rpmを発生する。

モーター(最大出力150hp、最大トルク48.9kgm)は、トランスミッションと一体設計され、PHVシステム全体で510hpのパワーと76.5kgmのトルクを獲得する。従来型に対して、34hp、5.1kgm強化された。0~100km/h加速5.2秒、最高速250km/h(リミッター作動)の性能を発揮する。

二次電池はリチウムイオンバッテリーで、蓄電容量は従来型の13.5kWhから、新型では28 kWh へ大容量化された。これにより、EVモードの航続は、従来型の最大50kmから、新型では113km(WLTP計測)へと2倍以上に拡大した。EVモードの最高速は140km/hとした。バッテリーの充電は、出力11kWの3相AC充電器を標準装備する。オプションで、出力60kWのDC急速チャージャーが利用できる。充電時間は、およそ30分とした。

S580eには、標準ホイールベースとロングホイールベースの2種類を設定する。従来型のトランク内のバッテリーによる床面の段差は、新型では解消され、内燃エンジン車と同じトランクの積載性を実現している。

第2世代の「MBUX」

最新の「MBUX」が搭載される。MBUXは、「メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス」を意味し、新世代のインフォテインメントシステムだ。特長は、人工知能(AI)によって、学習することにある。

MBUXはカスタマイズ可能で、ユーザーに適応する。無線通信での更新も可能だ。タッチスパネルで操作する高解像度のワイドスクリーンコックピット、拡張現実(AR)技術を備えたナビゲーションディスプレイ、「ハイ、メルセデス」で音声アシストが起動するインテリジェントな音声コントロールが含まれている。

新型SクラスのMBUXは第2世代となる。ハードウェアとソフトウェアが大きな進歩を遂げており、さらにデジタルでインテリジェントになった。OLEDテクノロジーを備えた12.8インチの大型インフォテインメントディスプレイをはじめ、最大5つの大画面ディスプレイにより、快適機能などを簡単にコントロールできるようにした。

12.8インチの大型インフォテインメントディスプレイは、操作スイッチの数が大幅に削減された。従来型よりも、スイッチの数は27少ない。タッチやスワイプ、音声コントロール、ジェスチャーに加えて、オプションで視線によるコントロールも可能にした。ディスプレイの最も下の位置には、空調操作パネルが配される。

このディプレイには、「OLED」テクノロジーを導入する。OLED(有機発光ダイオード)は、LEDなどの点光源とは異なり、平面光源となる。その光は、新しいレベルの均質性を可能にする。プラスチック基板にいくつかの有機層を組み合わせたOLEDユニットは、効率的で軽量に仕上げられる。

新型Sクラスでは、OLEDユニットをガラスパネルの向こうに配置し、その背後のアクチュエーターと圧力センサーを組み合わせて、優れたコントロール性とディスプレイ表示を可能にした。OLEDパネルは、外部の背景照明を必要とせず、点灯している場所でのみ電力が消費される。OLEDテクノロジーは液晶よりも、最大30%エネルギー消費を抑えられるという。

音声アシスタントの「ハイ、メルセデス」がバージョンアップ

音声アシスタントの「ハイ、メルセデス」は、さらに多くの対話が可能になった。たとえば、「ハイ、メルセデス」と呼びかけなくても、電話の着信に応答したり、ナビゲーションマップを表示したりすることができる。また、救急箱がどこにあるのか、Bluetooth経由でスマートフォンを接続する方法なども説明できるようになった。

PIN入力に加えて、新しい認証方法により、高いレベルのセキュリティを追求する。指紋、顔、音声認識を組み合わせることにより、車両から個々の設定にアクセスしたり、デジタル決済プロセスを検証したりすることが可能になった。

「ハイ、メルセデス」は、27の言語に対応するように改良された。新しい「Chit-Chat」機能では、質問に答えてくれる。-動物の鳴き声や一般的な知識に関する質問にも回答する。スマートホーム機能により、自宅の家電製品を車両に接続して、音声で遠隔制御することもできる。

「ハイ、メルセデス」は、間接的な指示も理解する。たとえば、足元の温度を調節するために、「足元の温度を24度に」と指示する代わりに、「寒い」と言うだけで空調をコントロールしてくれる。ユーザーとその声を学習し、方言も理解する。新しい流行語や言葉の使い方を、時間の経過とともに学習する。

また、このシステムは徐々に、定型的な応答をしなくなる。言語アシスタントでは、音声による入力はバックグラウンドノイズから解放され、圧縮されて送信される。車両のヘッドユニットとサーバーがデータを評価し、応答を送信する。システムが最も可能性の高い応答を決定し、数秒以内に応答する、としている。

《森脇稔》

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