【F1】ハミルトンの通算ポールポジション回数が“3ケタ”に到達…100勝にもあと2つ、なにもかも“ケタ違い”に!?

5月7~9日に開催された今季のF1第4戦スペインGP(バルセロナ)で、ルイス・ハミルトンが通算100回目のポールポジション獲得を達成。ポール・トゥ・ウインを果たし、通算優勝回数でも3ケタ到達まであと2勝とした。記録の狩人ハミルトンの凄さについて再検証する。

(*本稿におけるF1=F1世界選手権シリーズの記録はすべて、2021年第4戦スペインGP終了時点のもの。手元集計を含む。また、記録の解釈や集計方法により、一部の資料等とは数字が異なる場合もあり得る)

100ポール達成、100勝も間近、10冠の可能性も!?

F1における個人の主要記録といえば、やはり「優勝回数」、「ポールポジション獲得回数」、そして「ドライバーズチャンピオン獲得回数」というところになると思うが、現在36歳のルイス・ハミルトン(英国出身、1985年1月7日生まれ)は、そのいずれもで歴代最多記録を保持している(最多タイを含む)。

優勝回数に関しては昨季、従来の最多記録であったミハエル・シューマッハの91勝を抜き、今回(今季第4戦スペインGP)の勝利で98まで数字を伸ばした。チャンピオン獲得回数の方は昨季の王座獲得でシューマッハの7冠に並び最多タイ、今季2021年は単独最多を狙うシーズンとなっている(ハミルトンの戴冠年は2008、14~15、17~20年)。

そして“今回の主役”であるポールポジションだが、こちらは歴代2~3位に位置するシューマッハの68回とアイルトン・セナの65回を既にはるか後方へと押しやるほどに圧倒的。2017年シーズン中にセナとシューマッハを抜き去り、今季開幕前の段階で98回に達していた。今季中の3ケタ到達が有力視されるなか、ハミルトンは4戦目でそれを実現している。

ポールの回数では歴代2位を文字通り「ケタ違い」としたハミルトン。優勝回数でもあと2つと迫った100の大台に近いうちに到達し、2位をケタ違いにするのはほぼ確実だろう。チャンピオン獲得回数のそれ(2位をケタ違いに)は、あと3冠が必要であり、まだ道は長く、さすがに様々な意味で楽観視はできない。8冠目を獲って単独最多となることが当面の目標だとも思う。ただ、本人にその気があれば10冠達成=2ケタ到達でひとりだけケタ違いの領域に入るのも夢物語とはいえないだろう(最速なら2023年、38歳のシーズンに達成可能)。

ケタ違いばかりの“記録道”をハミルトンは歩み続けているのだ。

近年は年間レース数が増加基調にあり、ハミルトンはシューマッハら過去の名選手たちよりもポール数や優勝回数に関しては有利、という面は確かにあるが、それを考慮しても凄すぎる(年にひとりが原則のチャンピオンに関しては、時代による有利不利は基本的にない)。

デビュー年から年間1回以上のポール獲得を維持

ハミルトンのポールポジション100回史は、新人だった2007年の第6戦カナダGPでの初獲得から始まり、今季までの15シーズンで1度もポールが獲れなかった年はない。彼は07~12年がマクラーレン、13年以降がメルセデスの所属で、すべてメルセデス製のエンジン/パワーユニットでポールポジションを獲得してきている。

毎年ポール獲得を続けるなかで、あぶなかったのは10年と11年だ。この2シーズンは各1回しかポール獲得がない。10年はシーズン前半のうちにその年1回のみとなるポールを獲っているが、11年は後ろから4戦目の韓国GPがシーズン初ポールと、特に厳しい年だった。ただ、その1回が当時セバスチャン・ベッテルらを擁していたレッドブル・ルノーの年間全戦ポールを阻むそれであったことは、さすがハミルトン、面目躍如である。

思えばかつての絶対的ポールハンター、セナにも似たようなことがあった。

セナは初めて上位チーム入りしたデビュー2年目の1985年に初ポールを獲得してから、レース中の事故で亡くなる1994年を含めて10シーズンにわたり年間1回以上のポール獲得を維持。そんなセナにもやはりピンチはあり、87、92、93年が年間1回のみだった。

87年と92年はシーズン前半で獲っているのでピンチ度低めだが、93年のセナは最終戦でのシーズン初ポール。11年のハミルトンどころではない大ピンチをしのいで、年間1回以上のポール獲得を継続した。そしてやはり、アラン・プロストらウイリアムズ・ルノー勢の年間全戦ポールを(こちらはまさに土壇場で)阻止したのであった(92年もナイジェル・マンセルらウイリアムズ・ルノー勢の全戦ポールをセナが阻止するかたちだった。ただしこちらはシーズン前半のポールでの阻止)。

ポール獲得率でのセナ超え、なるか?

ハミルトンといえども(記録面で)全知全能、完全無欠というわけではない。ポールポジション関連でセナに及ばない点もある。それはポールポジション獲得率だ。回数では既にセナを圧倒しているが、獲得率ではセナが約40.1%あるのに対し、ハミルトンは現状で約37.0%(シューマッハは2割台前半)。

なお、本稿ではセナの成績を予選162回出走、ポール65回で計算している(161回が予選通過、1回が予選落ち)。ハミルトンの予選成績の方は、ここまで270回出走、ポール100回としている(予選落ち0回)。

歴史を辿れば1950~60年代にはセナ以上の獲得率を記録していたドライバーも複数いるが、そこはさすがに時代が違いすぎるとして、ハミルトンがポール獲得率でセナを超えられるかどうかは、記録面における当面のちょっとした焦点かもしれない。

ハミルトンが10冠を目指し、現時点で最速達成の可能性がある2023年までは少なくとも現役を続行すると仮定してみよう。年間レース数については一応、今季の予定数である23戦ベースで考える。そうすると、現段階で残りは65戦だ。この65戦でハミルトンが予選を戦い、35回ポールを獲ると、通算の獲得率は約40.3%まで上がり、セナの約40.1%を超えることになる。

この仮定においては今後、2回に1回より少しいいペースでハミルトンがポールを獲っていくと2023年終了時点で通算獲得率のセナ超えを果たしている計算になるわけだが、その実行難度や成否はともかくとして、ハミルトンの存在が過去の名選手に再度スポットライトを当てることになるのも記録の有益さであり、ロマンであり、面白いところだ。

(*ちなみにF1では今季途中から一部のGPで、決勝レースのグリッドを決める“予選レース”的なものの実施を含めたレースウイークの新フォーマットが試される予定にもなっている)

100回目のポールポジションを獲得したスペインGP、ハミルトンはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)との熱戦を制してレースでも優勝、通算98勝目をあげたのは前述の通りである(今季3勝目)。そしてスペインGPについては5年連続優勝(2017年~)となった。これはセナのモナコGPでの5連覇(1989~93年)に並ぶ、同一GP連覇最高記録とみられる。

100勝達成はどこで? 母国GP前の到達が濃厚?

近々に起こり得ることとして気になるのは、ハミルトンの100勝達成がどのGPになるかだ。

コロナ禍による渡航制限の影響等で変更のおそれが常につきまとうなか、日本時間5月14日、近い時期のカレンダーに関する変更が発表されている。本稿執筆時点でのF1開催日程(次戦~サマーブレイク前まで)は以下の通り。

5月23日 モナコGP
6月6日 アゼルバイジャンGP
6月20日 フランスGP
6月27日 シュタイアーマルクGP
7月4日 オーストリアGP
7月18日 イギリスGP
8月1日 ハンガリーGP
(日付は決勝予定日)

今回の変更は、既にカナダGPからトルコGPに変更されていた6月13日決勝予定の日程が結局「ブランク」になったことと、それに伴う動き。上記のように、フランスGPが6月20日へと1週前倒しされ、もともとはオーストリアGP(7月4日)だけ開催の予定だったオーストリア・レッドブルリンクでシュタイアーマルクGP(6月27日)も開催されることになっている。

トルコGPについては現段階で今季23戦のカレンダーからは外れるかたちになったが、可能ならばシーズン後半の開催を模索する意向もあるという。シーズン後半には開催微妙なGPがいくつか入っているので、各種調整の結果、トルコGPが23戦の枠内で“復活”する可能性はあるものと考えられる。

さて、ハミルトンの100勝達成がどのGPになるかだが、F1の象徴でもあるモナコGPで通算100勝達成、とはならない(勝っても99勝目)。アゼルバイジャンGP以降に100勝達成GPとなる可能性がある。

ハミルトンの母国戦、イギリスGPで達成となる可能性はどうか? そのためには、それまでの5戦でハミルトンが1勝というのが前提条件になるが、現状ちょっと想像しにくい数字だ。今季開幕から4戦3勝のディフェンディングチャンピオン、5戦もあると2勝以上していそうな雰囲気が濃厚…!? 順調ならば、イギリスGPの前に100勝到達と思えるところである。

レコードブックの多くのページで先頭を走るルイス・ハミルトン。今季の正式契約はかなり遅めだったが、来季のそれに関しては早めの動きになる、との報道もあり、各種記録はまだまだ伸び続けていきそうだ。

《遠藤俊幸》

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