元F1世界チャンピオンのニコ・ロズベルグ氏は11月23日、リマック・アウトモビリ社のEVハイパーカー、リマック『C_Two』(Rimac C_Two)の開発プロトタイプ車をテストした際の映像を公開した。
0~96km/h加速2秒以下で最高速412km/h
リマック・アウトモビリ社は2009年、クロアチアに設立された。リマック・アウトモビリ社の名を広めたのが、2011年に発表されたEVスーパーカーの『コンセプトワン』だ。コンセプトワンは、「世界初のEVスーパーカー」を掲げて登場した。2ドア、2シーターのスポーツカーデザインで、前後アクスルにそれぞれ2個ずつ、合計4個のモーターを搭載し、4輪を駆動する。
リマック・アウトモビリ社は2018年、ポルシェからの出資を受けた。ポルシェがリマック・アウトモビリ社の10%の株式を取得し、その後、出資比率を15.5%に引き上げた。リマック・アウトモビリ社は、高電圧バッテリー技術と電動パワートレインに関するノウハウを持っており、ポルシェは同社の技術を電動化の推進に役立てていく。
リマックC_Twoには、4つの電気モーターを搭載する。4個のモーターは各車輪を駆動し、合計で最大出力1914hp、最大トルク234.5kgmを引き出す。強力なモーターは、0~96km/h加速2秒以下、0~300km/h加速11.6秒、最高速412km/hと、世界最高峰の性能を発揮する。
1回の充電での航続は最大550km
バッテリーは、蓄電容量が120kWhと大容量のリチウムマンガンニッケルだ。1回の充電での航続は、最大550km(WLTP計測)の性能を備える。充電は出力250kWの急速チャージャーを利用すれば、バッテリーの80%の容量をおよそ30分で充電可能にしている。
電子制御ダンパーを備えたダブルウィッシュボーンサスペンションを採用し、滑らかで快適な乗り心地を追求している。ブレーキは前後ともに6ピストンのキャリパーで、ブレーキローター径は前後ともに390mmとした。また、アクティブエアロシステムを採用した。前後のディフューザー、リアウィング、アンダーボディインレットなどにより、エアロダイナミクス性能を追求する。
モノコックとルーフの重量は200kg以下
リマックC_Twoには、カーボンファイバー製モノコックを採用する。自社設計によるC_Twoのフルカーボンファイバー製モノコックは、自動車メーカーで最大の単一カーボン構造とした。バッテリーやモーターなどの電動パワートレインは、このモノコックと一体設計されている。このモノコックは、ルーフを合わせても重量が200kg以下と軽い。モノコックとカーボンルーフは接合されている。車体の前部と後部は、アルミ製の衝撃吸収構造とした。ボディサイズは全長4750mm、全幅1986mm、全高1208mm、ホイールベース2745mm。車両重量は1950kgとした。
インテリアはハンドメイドだ。つや消しのカーボンファイバートリムパネルが、ブルーレザーとのコントラストを強調する。ダッシュボード中央には、大型のディスプレイモニターを装備する。また、ドライバー正面のメーターもデジタル化されたフルデジタルコックピットになる。助手席前方にも、小型のディスプレイがレイアウトされている。
すでにリマックC_Twoを購入することを決めたロズベルグ氏
このリマックC_Twoの開発プロトタイプに、元F1世界チャンピオンのニコ・ロズベルグ氏が試乗した。ロズベルグ氏はF1引退後、グリーンテックフェスティバルを設立した。EVに搭載可能な将来のテクノロジーを開発している企業に、多くの投資を行い、EVの普及を支援する活動に取り組んでいる。
リマックC_Twoは2021年、世界限定150台が生産される予定。なお、ロズベルグ氏は、リマックC_Twoを購入することを決めており、開発プロトタイプによる公道試乗が実現している。