ピレニー、後付けできる運転支援システム「Pyrenee Drive」を開発

ピレニーが開発した後付け型運転支援システム「Pyrenee Drive」
  • ピレニーが開発した後付け型運転支援システム「Pyrenee Drive」
  • 「Pyrenee Drive」のディスプレイ部。その上には車内監視用のカメラも装備する
  • 見落としや判断ミス、操作ミスから生まれる事故原因を無くすことを目的とする
  • AIアシスタントである「Pyrenee Drive」と衝突軽減ブレーキの違い
  • GPUにはNVIDIA製を使い、様々な機能につながる多彩なセンサーも搭載する
  • 乗用車は赤枠で、歩行者は緑枠で認識。大型バスは青で認識した
  • 一度に複数の認識する能力を発揮しているのはNVIDIA製GPUの高い処理能力によるものだ
  • 歩行者が危険な状態になると画面と音声を組み合わせて警告する

スタートアップのピレニーは、AIドライバーアシスタント「Pyrenee Drive(ピレニードライブ)」のプロトタイプを開発してメディア向けに公開。システムを搭載したデモカーに試乗し、その実用度を体験する機会を得た。

取得データをディープラーニングによるAIで解析

ピレニー(代表取締役CEO三野龍太氏)は2016年に創業した若い企業だ。三野氏によれば創業前は家庭用品やペット商品を開発・販売していたが、6年ほど前に「人の命を救う製品」の開発したいと考えるようになったことが「ピレニードライブ」開発のきっかけになったという。折しも世の中では衝突軽減ブレーキの装着が進み始めていた時期でもあり、一方で世の中にはこの装備を持たないクルマも数多い。ならば、そうした既存車両をターゲットに「交通事故を防止する」製品の開発してはどうか。そんな考えに至ったのだという。

三野氏の説明では、交通事故の9割以上はドライバーの見落としや判断の誤りから生まれているといい、このヒューマンエラーを軽減すれば事故発生の軽減につなげることができる。それに役立つのが「ピレニードライブ」というわけだ。

ピレニードライブは1DINサイズのオーディオに近いサイズの一体型で、前方には200万画素ステレオカメラを、後方には横長のカラーディスプレイと車内用カメラを装備する、いわば後付け型の運転支援システムだ。カメラは前方の風景を捉えつつ、車内のドライバーの様子を監視することで居眠り運転などの防止にも役立てる。取得したデータはディープラーニングを活用したAIで解析され、危険と判断されると音と画面を使って警告する仕組みだ。

本体内にはカーナビゲーションやドライブレコーダーといった機能にも対応できるよう、GPSや加速度センサーなど各種センサーを内蔵。さらにLTE通信もジュールやWi-Fi、Bluetoothも搭載し、常にネットワークにつながることでコネクテッドカーとしての機能も持たせている。それはユーザー間の通信やクラウド経由の音声認識、さらには緊急時のヘルプ機能としても活用できるという。

すれ違う車両や路肩にいる歩行者を遅延なく検知

取り付ける位置はダッシュボードの上で、試乗したデモカーではドライバー席の前に取り付けられていた。電源はシガーライターソケットから取るだけ。もちろん、後付けなので衝突被害軽減ブレーキのように自動でブレーキをかけるような機能は持たない。ピレニードライブはあくまで音と画面での警告だけの運転支援システムであって、どんなクルマでも簡単に後付けできることを最大のポイントとしているのだ。本体のOSはLinuxをベースとしており、対話型の音声認識やBluetoothによる周辺機器との接続にも対応する。さらに通信による将来の機能拡張も可能としている。

ではピレニードライブでの危険の検知はどう行うのか。それは、ディープラーニングを活用したリアルタイム物体認識を基本としている。歩行者は緑色の枠で、自動車は赤色の枠で認識し、他にも自転車やバイクなどの2輪車の認識も可能となっており、その動きは0.1秒単位で追うことができるという。これはAI処理に強いNVIDIA製GPUの搭載で可能になったことでもあるのだ。

デモ映像では、「左から人が来るよ」、「右から自転車が来るよ」とか、「前にクルマがいるよ、追突注意、前を見て」といった具合に警告音を交えながら危険を知らせることができていた。認識できる車両は乗用車とバスやトラックなどの大型車を識別でき、さらに静止しているのか、あるいは走行している向きも判断可能になっている。

試乗は東京・秋葉原周辺を1kmほど走行して行われた。機能を体験するコースとしてはかなり短く、体験というよりも認識している状態を把握するための試乗だ。ただ、認識はかなり速く、すれ違うクルマであっても遅れることなく正確に識別。当日は雨が降る悪条件下ではあったが、傘を差している人もほぼ完璧に認識していた様子だった。試乗の際に運転していただいた開発の方によれば、この識別精度は夜になってもライトで照らしている限りそれほど劣ることはないとのこと。その意味では確かに、危険をいち早く認識できるわけで一定のメリットはあるのではないかと感じた次第だ。

気になる製品化の時期や価格は現時点では未定。量産はシャープの支援を受けて整えているところで、「早ければ2020年度内に少し高めのカーナビぐらいでは発売できるかもしれない」(三野氏)とのこと。すでに物流大手のSBSロジコムと提携して、運送車両による試験データの収集を開始しており、パーソナルユース以外にも業務用途でも事故低減に向けて役立つことを期待したいと思う。

《会田肇》

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