「福祉MaaS」要支援・要介護の外出をもっと自由に…エムダブルエス日高 代表取締役 北嶋史誉氏[インタビュー]

「福祉MaaS」要支援・要介護の外出をもっと自由に…エムダブルエス日高 代表取締役 北嶋史誉氏[インタビュー]
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厚労省によると、要支援・要介護の認定者数は、2018年4月現在で644万人に上り、この18年間で約3倍に伸びた。また75歳以上の高齢者の全人口に占める割合は増加し、2055年には25%を超える見込みだ。

このような背景から、高齢者の外出に対する社会的な関心が非常に高まっている。しかし人口が減少している上に、クルマ依存が進んだ地方でも、公共交通に対する需要が高まっているものの、バスやタクシーの経営難やドライバー不足などが深刻化していて一筋縄ではいかない。

そこで第三の交通網を検討しているエムダブルエス日高代表取締役の北嶋史誉氏に聞いた。同社は群馬県で大中規模のデイサービスを経営している。

要支援・要介護を受けた高齢者は、通所型のデイサービスに通うことができる。デイサービスでは利用料金の中に、施設まで、施設が所有する福祉車両で、スタッフに送迎してもらうサービスも含まれている。

デイサービスは利用者の施設利用日に合わせて送迎ルートを組む必要がある。利用者によって健康状態や住宅環境が異なり、それに対してきめ細やかに対応する必要がある。

デイサービスの施設は地方では大型化が進んでいる。エムダブルエス日高は12か所のデイサービス施設を運営しており、送迎用の車いすのリフトが付いた福祉車両を含めた約200台保有している。大型の施設では最大400人が利用可能で、1日約240名が利用し、約40台走らせている。

課題となっていたのがルート作成だ。また1人1人ニーズが異なり、「送迎時にコタツの電源を消す」「失語症で話せない」「家の前の道が狭い」などに応えていく必要がある。この送迎セットの作成に時間がかかり、残業の温床になっていた。

そこで、自動ルート作成システム(名称:福祉Mover)を導入。送迎ルートのみならず利用者ニーズも細かく表示させることも可能となり、施設利用日の利用者の送迎の劇的な効率化を実現させた。

つぎに検討したのが、施設利用者の施設利用日以外(非通所日)の外出だ。施設への送迎車両は毎日動いている。そこに「非通所日の外出サービスも加えたらどうか」「デイサービスの施設は地域にたくさんあるので、デイサービスが連携して、要支援・要介護の方の外出支援ネットワークを作れないか」というアイディアが、送迎の劇的な効率化で生まれた。

それを可能とするのが未来シェアのAIによる自動配車システム「SAVS(サブス)」だ。

公共交通網が発達していない地域においてもデイサービスは普及している。そこで働く職員は介助に優れた体力のある若者で、施設は保有する車いすリフトのついた車両も自社で保有している。追加的に、新たに人材を育成したり、車両を購入したりするわけではない。少しの連携で要支援・要介護の方の外出は大きく変わる可能性がある。また要支援・要介護を得意としないタクシー事業者との住みわけもできているのではないだろうか。

このように地方で財源や人材不足で頭を抱える地域が増える中で、デジタルの活用により生まれた有効的な一つの方法として、デイサービスのネットワークによる外出支援は画期的だと期待している。

デイサービスの利用者も団塊の世代が増えており、外出ニーズも変化。高齢者の外出先と言えば、スーパーや病院だと思われがちだが、友人と食事に出かけたり、習い事に出かけたりと多様になってきている。また家族と住めない人も増えている。非通所日の送迎はQOLの向上にも寄与するだろう。

このように移動手段と医療や福祉は以前から様々な取組みが行われてきたが、まだまだ改革の余地がある分野なのだ。これからさらに医療系・福祉MaaSが増えることを期待する。

《楠田悦子》

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