【SUPER GT×DTM 交流戦】「クラス1」の発展に大きな期待をかける、BMWモータースポーツのマルカルト代表…インタビュー

BMWのDTMマシン
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  • BMWモータースポーツのイェンス・マルカルト代表
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BMWモータースポーツのイェンス・マルカルト代表は、トヨタのF1プロジェクトに携わった経験を持つ日本にゆかりの深い人物である。また、「クラス1」プロジェクトには立ち上げから関わり、7年の歳月を費やして交流戦にこぎつけた。今シーズンのBMWと、富士への思いをマルカルト代表に聞いた

今年の経験を踏まえ、来シーズンへ望む

----:いよいよホッケンハイム、そして2か月後には富士での交流戦ですね。そこで日本のファンが見ることになるBMWのマシンですが、今シーズンはいかがですか?

イェンス・マルカルト氏(以下敬称略):レギュレーションが変わり、それに合わせた新しいコンセプトのマシンを走らせる時は、常に課題にぶつかります。去年まで使用していたBMWのV8エンジンは(左右対象で)非常にバランスが良いものでした。そして、車体もそれに合わせて開発されたものでした。今シーズンから使用する2リットル4気筒ターボエンジンは、重量バランスが全く異なります。ドライバーから見て右側にはエキゾーストやターボチャージャーなど多くのコンポ―ネンツが取り付けられています。一方、左側には何も付いていません。

ですので、バランスに加えて最初の課題は(右側の)熱処理でした。断熱材が融けたり、液体類が沸騰したり、ショックアブサーバーなど主要なパーツも熱の影響でトラブルが多発しました。また、回転バランスの良いV8と比べると、4気筒ターボエンジンは特に高回転域でのバイブレーションが強く出ます。初期にはトラブルに見舞われましたが、徐々に熟成が進みました。1年目の今年は少し苦労しましたが、来シーズンは安定した状態で戦えるでしょう。

----:今シーズンは、既にアウディがマニュファクチャラーチャンピオンを獲得しましたね。

マルカルト:前戦のラウジッツリンクでは、マシンの持つポテンシャルを充分に引き出すことができず苦戦しました…。でも今週末は、予選のタイムも決勝レースでのペースも今のところ好調です。新しいパッケージで戦う場合、この様にサーキットの特性など異なる条件の下でいかにセットアップを決めるかが重要になります。今年は、アッセンやゾルダーなど、初めてDTMが開催されたコースでは、セッティングの「スイートスポット」を限られた走行時間の中で発見し良いペースで走れました。逆に、データの蓄積があるコースでは、アウディの方が早く最適なセッティングで走らせる事ができたようです。

いずれにしても、この(直列4気筒2リットルターボエンジンへの)変更は、「クラス1」レギュレーションに基づいて日本(SUPER GT)と歩調を合わせており、DTMにとっても非常に良い出来事だと思います。チームとしては、シーズンを通していい時も悪い時もありましたが、DTMというシリーズ全体として、いい方向に進んでいる事は間違いないと思います。

----:来シーズンに向けての課題は、セッティングの幅を広げることでしょうか?

マルカルト:今年の経験を基に、その週末の天候や環境、サーキットの状態などに合ったセットアップを早く見つけること。マシンのセッティングの幅を広げるような開発を行うと同時に、最適なセッティングを早く見つけることが来シーズンの鍵です。オフシーズンは、そこに焦点を絞って開発を行っていく計画です。

SUPER GT勢のタイヤの使い方に注目

----:さて、交流戦が迫ってきましたが、GT500のどんなところに注目しますか?

マルカルト:SUPER GTも来シーズンはボディ形状を含め、マシンが変わりますよね。ご存知のように、BMWはスープラのプロジェクトでトヨタとは親しい関係にあるので、来年からスープラが走ると聞いて、とてもエキサイティングに感じます。今シーズンまでのGT500はDTMのマシンとの間に少し(テクニカルレギュレーション上の)違いがありましたが、来シーズンからは基本的に同じ規定に基づいたクルマになります。

そんな中、SUPER GTとの大きな違いはタイヤですね。タイヤはレーシングカーのパフォーマンスにとても大きな影響を与えます。ですので、SUPER GTのチームがどの様にタイヤを使うかは興味のあるところです。

----:BMWのマシンは何台富士に来る予定ですか?

マルカルト:詳しいことは、もう少し後で発表しますが、最低でも3台は走ると思います。

----:交流戦ではGT500勢がハンコックタイヤを使うことになります。ホッケンハイムで慣れないタイヤに苦労すると思いますがどう思いますか?

マルカルト:そうでしょうか? SUPER GTでは継続的にタイヤ開発を行っていますよね。ですから、チームは違う条件下で最適なセットアップを見つけることに慣れていると思います。一方、DTMではシーズンを通して同じタイヤを使用しています。ですから、違う種類のタイヤへの対応は、日本のチームの方が優れていると思います。タイヤウォーズがあるSUPER GTでは、おそらく毎戦違う種類のタイヤを(タイヤメーカーが)持ち込んでいるでしょう。ですから、タイヤが変わった場合にどう対応し、「スイートスポット」を見つけるかは分かっていると思います。

7年越しの「クラス1」規定と今後の期待

----:当初から「クラス1」に携わっておられたと思います。およそ7年をかけて、一つの節目を迎えました。今のお気持ちは?

マルカルト:私は個人的に、日本とは深い縁があります。(*同氏は以前、TMG=トヨタモータースポーツGmbHに所属してトヨタのF1プロジェクトにかかわっていた)。また、今はZ4(とスープラ)や燃料電池の開発などを通してBMWはトヨタやホンダと密接な関係にあります。ですから、我々にとっても日本と「クラス1」について共同で取り組み、SUPER GTとDTMがともに発展できる仕組みが出来上がったのはとても喜ばしいことです。

いつとは言えませんが、将来的には日本のメーカーがDTMに参戦したり、逆に我々BMWやアウディ、アストン・マーティンなどが日本でSUPER GTに参戦したりするようになることを望んでいます。それが、個人的にも私の夢です。そのための基礎作りはできました。これからは、そこをベースに安定的に成長していくことに努力します。ここに来るまでに7年かかりましたが、次の段階は7年もかけずに実現したいですね。それは、私の希望でもありますが、DTMとSUPER GTに関わるすべての人の目標でもあります。

----:SUPER GTで、BMWやアウディ、アストン・マーティンが走るのを是非見たいですね!

マルカルト:同時に、トヨタやホンダ、日産のマシンがヨーロッパで我々とバトルをすることになれば、DTMも、さらに盛り上がるのは間違いありません。例えば3ブランドのマシンが18台で戦うよりも、6ブランドのマシン18台がレースをする方が盛り上がりますからね。

----:最後に、日本のファンに一言お願いします

マルカルト:ついに交流戦の実現にこぎつけました! (GTアソシエイション会長の)坂東さんはじめSUPER GT関係者、それからゲルハルト(ベルガー会長)を含めITRのみなさんには本当に感謝しています。ファンのみなさんには、ドイツ・ホッケンハイムと日本の富士で素晴らしいレーシングカーをお見せすることができます。我々も、とても楽しみにしています。富士ではスペシャルなモノをご用意していますので、期待していてください。11月22日・23日を、私も待ちきれません! 久しぶりに富士山を見るのも楽しみです。

《石川徹》

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