サービス開始に先立って5月21日、報道関係者向けに、実際のVRシステムを体験できる発表会がアクティオ本社(東京)で行なわれた。
まずはレンサルティング本部IoT事業推進部課長・藤澤剛氏が登壇し、本サービスの開発背景が語られた。藤澤氏によると、「建設業の労働災害での死亡者数は、数年減少傾向で2018年は前年比微減となったが、2017年には増加に転じていたなど、まだまだ事故は絶えない」とのこと。そして「建設機械の安全教育については座学がほとんどで、実際に体験していないため、なかなか身につかない」といった現状についても報告された。
このような事象を鑑み、「VRの技術を使って、擬似的に不安全行動することにより、どこに危険箇所があるか、安全でない行動をとるとどのような結果を招くのかを体験し、安全意識高揚に繋げたい」というコンセプトのもと、今回発表したシステムの制作がスタートしたことが伝えられた。

実際のバックホーの事故体験ができるシステムには、以下の4つのシナリオが用意されていた。
●横転……吊状態での加速度旋回による横転
●接触……バックホーの旋回に巻き込まれ被災
●挟まれ……バック走行時、後方の人に気づかず巻き込み
●二次接触……鉄板の端を踏み、反対の鉄板が持ち上がり被災
今回の発表会では、VRヘッドセットを付けて、『横転』と『接触』のシミュレーションが実際に体験できた。『横転』のシミュレーションでは、荷吊状態にもかかわらず『クレーンモード』ではなく『掘削モード』で旋回した場合、吊り荷の重みによりバランスを崩し、バックホーが転倒してしまう状態を再現。『接触』では、バックホーに近づいた際に、旋回に巻き込まれ被災するシミュレーションが体験可能になっていた。
バックホーの操作については、実際の操縦席のように、前進・後進するためのスロットコントローラーが用意され、ブームを操作するジョイスティックも設置されていた。藤澤氏によると、スロットコントローラーはこだわりを持って作られ、実際のバックホーと同じレバー操作感を表現するために、押し込みの際の重さなどにもこだわって制作されたとのこと。

ACCESSの方にお話をうかがったところ、「手にセンサーを付けて動きを認識させる方法も考えていたが、お客様が体験する際にセンサーを取り付ける手間がかかるため、素早くセッティングが可能なLeap Motionで認識させる方法を選んだ」とのこと。
現在レンタル価格は決定していないが、3日間のレンタルで30万円、1日15万円程度のレンタル価格を検討中だ。