モトクロスの女性トップライダーからヤマハのインストラクターへ、伊集院忍さんのバイク人生

ヤマハ・ライディング・アカデミー、インストラクター伊集院忍さん
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  • ヤマハ・ライディング・アカデミーでの講習風景
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サラサラのストレートボブに、柔らかな笑顔が印象的な女性は、ヤマハ・ライディング・アカデミー(YRA)でインストラクターを務めている伊集院忍さん。

この名前を見て、モトクロス好きの方ならピンと来たかもしれないが、そう、伊集院さんは、元全日本モトクロス選手権でレディスクラスのトップライダーとして活躍していた経歴を持っている。

物心ついたときからバイクに乗っていたんです

ヤマハ・ライディング・アカデミー、インストラクター伊集院忍さん
両親のバイク好きが高じて、自転車に乗れるようになったから次はバイク、とヤマハの『PW50』を与えられ、なんの疑問も持たずにバイクに慣れ親しんでいた幼少時代。周りにもバイクに乗っている友達が多く、バイクには普通に乗るものだ、として育ってきたという。

「物心ついたときからバイクに乗っていたんです」と話す伊集院さんは、小学生に上がる頃には、モトクロスの地方選手権に出場し、中学生の終わりからは全日本のレディスクラスに参戦。学校に通いながら父親と一緒に日本各地を回っていた。

「本気で全日本に参戦しだしてからは、マシンはずっとヤマハの『YZ85LW』に乗っていました。それもあってか、2012年にヤマハの若手育成チームに選んでいただき、そこからレースに対する意識がガラリと変わったんです。レースに対するさまざまなことを教わり、なんとなく走るのではなく、1位をとれるためには何をしなきゃならないのか、戦い方をきちんと考えて挑むようになりました。始めた頃は、レースは学生時代だけでいいかな?とも考えていたのですが、もっと続けたいと思うようになり、大学を卒業しても、しばらくアルバイトをしながら参戦していたんです」

しかし、女性がレースで食べていくというのは大変なこと。収入源をレースだけに頼るのは日本のバイク業界では難しかったという。そんな折にヤマハからインストラクターをやってみないか?と声がかかった。

「レースを続けたかったので、最初はすごく悩みました。でも、今このチャンスを逃したら後はないと思い、お話を受けさせていただくことにしたんです」

オフロードで育ったので最初はオンロードが苦手でした


レースに未練はあった。しかし、小さなころからバイクに慣れ親しんできた伊集院さんは、バイクの未来を思い、レースをやめたらバイク業界で働いて業界を活性化させる手伝いをしたいという思いを抱いていた。その夢を実現させたのだ。それが4年前となる。

「18歳のときに、大型2輪の免許を取得したんですが、オフロード畑で育ったので、最初はオンロードバイクが信用できずにすっごく怖かったんです(笑)今でこそ、ロードバイクは走りやすくて、怖さも感じないのですが、まず、リーンウィズでバイクと一緒に身体を傾けるということが怖くて…。オフロードはリーンアウトしてタイヤを滑らせながら走らせるので、路面とタイヤは滑るのが当たり前で、傾けてもタイヤが滑らないという発想がなかったんです。それにアクセルを開けると車両が起き上がるし…。いろいろなことが違いすぎて、路面を信用するのに時間がかかりました(笑)、滑らせないで走るということが解らなかったんです」

と、今では笑い話にするほどにロードバイクに馴染み、現在は大型バイクを持つ人の悩みに寄り添えるようにと、愛車の『フェザー8』でツーリングに出かけたりもしている。

スクールに参加した皆さんが笑顔で帰ってくれるのが嬉しい

ヤマハ・ライディング・アカデミーでの講習風景
講習に使われる車両は『トリッカー』で、レッスンだけの半日コースと、レッスン&ツーリングの2つが用意されている。公道に出るのが不安という人にもうってつけの内容となっている。

「大人のバイクレッスンの参加者は、バイクの乗り方を忘れてしまった、自信がないという方を対象にしています。なので、免許をとったばかりの初心者さん、リターンライダーやペーパーライダーの方が多く、スクールの最初は緊張感が漂ってこわばっているのですが、帰る頃には皆さんいい笑顔になって走っているんです。それを見ると嬉しくて、そこがやりがいを感じるところでもありますね」

「教習用のトリッカーは車両が軽いので、クラッチ操作やアクセルワーク、ブレーキングなど操作に集中できて、手元の操作を意識することができます。さらに単気筒なので力強くアクセルワークが繊細になるので、ごまかしが効かず丁寧にやらないと走らないところがあります。そういった意味でも、自己流だったところを見直すのに適した車両なんです」

不安だった基礎をしっかりと見直せる、さらにはライディングポジションやブレーキの握り方など、教習所では教えてもらえない実用的なレッスン内容が人気の秘密となっている。

引き出しをたくさん持てるように日々勉強中です

ヤマハ・ライディング・アカデミーでの講習風景
新しくモトクロスのバイクレッスンも始まり、こちらでは本領発揮だ。オフロードを楽しみたいという希望者が多く、定員15名くらいのところに100名の応募もあるくらいの人気を誇る。さらにオンロードは女性限定、平成生まれの若者限定といったレッスンも設定されている。

「やっぱり土が好きなので、ゆくゆくはオフロード関係の仕事を増やしたいと思っていますが、今はとにかく目の前のお客様に満足していただけるように、経験を積み重ねることを第一に考えています。まだまだ教えることの難しさに戸惑うこともあります。持っている技術をお客様に伝えるためにどう表現したらいいのか、引き出しをたくさん持てるように日々勉強中です」

伊集院さんの笑顔は、周りの人を安心させる力がある。まだまだインストラクターとして発展途上中だが、その試行錯誤の最中に彼女なりの道が見つかることだろう。

ヤマハ・ライディング・アカデミー、インストラクター伊集院忍さん

《サトウマキ》

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