【VW トゥーラン 新型試乗】ディーゼルを得て商品力を高めたのは間違いない…中村孝仁

VW トゥーラン 新型(TDIハイライン)
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ガソリン車との差は20万円

ディーゼル攻勢を強めるVWは、『パサート』に続いて『ティグアン』にもディーゼルを設定。そして今度は『トゥーラン』にも追加した。

今回試乗したのは、「TDIハイライン」と呼ばれるモデルで、ディーゼルの高級グレード版である。これをガソリンの「TSIハイライン」と価格で比べてみると、その差ピッタリ20万円である。TDIの方が20万円高い。しかし、ホームページのカタログによれば、合計で14万円以上の優遇とある。広報の説明ではおおよそ9万円程度の優遇があるから、価格差は11万ほどに縮まるということだった。

どちらにせよ20万円の差額はないわけで、あとはランニングコストでその差を縮めていくことになるわけだが、今や我が家周辺でハイオクと軽油の価格差は実にリッターあたり41円もあって、年間1万km走ったとして、それぞれのJC08燃費でコスト計算すると、11万円差として、燃料代の差額はは年額2万5000円程度。まあ、燃料だけだと4年少々かかる計算だが、最近はクルマの平均保有期間が5年を超えているので、長い目で見るとやはりディーゼルがお得という計算が成り立つ。

VWらしい細やかな作り込みと優秀なシートアレンジ


さて、まあはっきり言ってしまうとかなり凡庸なデザインのトゥーラン。しかしVWらしい細やかな作り込みは、使い勝手という点では非常に優秀である。

全てのシートが独立仕立てになっていて、特に2列目は3脚の完全な独立シート。これはシートアレンジの幅を広げるのみならず、この種のファミリーバンを必要とする家族の場合、チャイルドシートを装着してなお、大人が座れるスペースをちゃんと確保できるから、かなり有難い。それにオプションながら、インテグレーテッドチャイルドシートなるものも存在して(ボルボがかつてやったのと同じような手法)、子供の年齢にもよるが、チャイルドシートを買わずに済むのは有難い。

実際にサードシートを倒してみたが、実に簡単だし完全にフラットなラゲッジスペースを構築できるから、アレンジや使い勝手は非常に高い。そして本来のラゲッジスペース床面は2重構造になっていて、スライディングカバーなどがここに仕舞えるという。

実用域で使いやすいTDIエンジン


肝心のTDIは、ティグアンのそれと同じ150psのEA288型。ただし、ティグアンと違って組み合わされるトランスミッションは、6速の湿式DSGである。もっとも、車重はティグアンよりも100kg軽いうえ、元々低速トルクが充実しているので、ティグアンと比較しても走りで劣るという印象はない。

試乗会場の山中湖畔を周回してみた。ほとんど信号もなく、まさにリゾートにバカンスに来た印象である。輸入車のディーゼルは、マツダのそれと違って、圧縮比が高いので車外騒音は比較的大きめなのだが、室内に入ってしまうとこれがウソのように小さくなって、やってはいけないアイドリングでの停車をうっかりしてしまう。だから、走り出してしまえばディーゼル特有にカラカラ音はほとんど室内には飛び込まず、ガソリン並とは言わないが(特にVWのTSIエンジンは静かだ)、下手なうるさいガソリンエンジン車と肩を並べる静粛性を保っている。

そして40~50km/hで走っているところから、グイッとひと踏み右足に力を込めると、ここからの加速はガソリン車では得られない力強さを持っている。だから、常用域では非常に扱いやすい。

結論から言って、ディーゼルを得たことでトゥーランは明らかに商品力を増した。長旅をするファミリー層にはうってつけの一台だし、国産ミニバンの上級モデルと遜色ない価格も、評価できる。流石にガチンコ勝負となるホンダ『フリード』よりは高いが、ホンダセンシングよりも一歩先を行く安全性能と運転支援装備を持つから、その点でVWを選ぶという価値はあると思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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