ちなみにSUBARUの中古車販売会社は、国内自動車メーカー系ではもっともAISの使用実績が多い。これについて伊藤氏は、「(SUBARUは)技術主導のメーカーであり、実直な社風が関係しているのではないか」と語っていた。
AIS検定を導入した効果としては、中古車を評価する精度が上がり、公正なジャッジができるようになったことを挙げた。AISが運用している10段階の評価も、顧客からの信頼につながっているという。
現在はインターネット販売が約4割を占めるそうで、現車を見ずに買う人が増えている。東京は走行距離が伸びていない中古車が多いことから、地方から探しにくる人も多い。こうした状況下、更にAISが運用する「評価基準」が重要になっているようで、点数が高い中古車は閲覧数も上がり、販売の決め手になることも多いという。時には業販の相手からAISが付与した評価点を聞かれることもあるそうだ。
ゆえに一度検査を受けたものの、良い評価点ではなかった場合には、再度整備や修理を行い、再検査する事で評価点を上げることもあるという。それだけ中古車販売におけるAISが付与する評価点は重要ということなのだろう。さまざまな現場を見ることで、AISが中古車販売店と顧客の間に存在していた不安要素を解消し、双方にメリットを与えていることが分かった。
森口 将之|モビリティジャーナリスト・株式会社モビリシティ代表取締役
1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業。自動車専門誌編集部を経て1993年にフリージャーナリストとして独立。自動車分野では自動運転からクラシックカーまで幅広いジャンルを担当し、新聞、雑誌、インターネット、ラジオ、テレビなどで活動中。自動車以外の交通事情やまちづくりなども精力的に取材しており、2011年には同分野でリサーチやコンサルティングを担当する会社、株式会社モビリシティを設立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。日本自動車ジャーナリスト協会、日仏メディア交流協会、日本福祉のまちづくり学会、各会員。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「富山から拡がる交通革命」(交通新聞社)「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」(秀和システム)など。
<オークネット総合研究所 概要>
1985年に世界初の中古車TVオークション事業をスタートし、以来30年にわたりオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営。これまで培った実績とネットワークを活用し、専門性、信頼性の高い情報を発信することで、更なる業界発展に寄与することを目指している。