【ホンダ ステップワゴン モデューロX 試乗】車高と車重を意識させない一体感のある走り…片岡英明

試乗記 国産車
PR
ホンダ ステップワゴン モデューロX
  • ホンダ ステップワゴン モデューロX
  • ホンダ ステップワゴン モデューロX
  • ホンダ ステップワゴン モデューロX
  • ホンダ ステップワゴン モデューロX
  • ホンダ ステップワゴン モデューロX
  • ホンダ ステップワゴン モデューロX
  • ホンダ ステップワゴン モデューロX
  • ホンダ ステップワゴン モデューロX

ホンダの純正ドレスアップ用品などを開発しているホンダアクセスが開発した専用のカスタマイズパーツを装着したコンプリートカーが「モデューロX」である。運転することの楽しさを徹底的に追及し、デザインだけでなく空力性能にもこだわった。ミドルクラスのミニバン『ステップワゴン』の売れっ子、スパーダにもファインチューニングを施したモデューロXが用意されている。登場したのは2016年秋だ。

2017年9月、ステップワゴンはマイナーチェンジを実施した。ハイブリッド車を追加するとともに商品性向上のためのブラッシュアップを行ったのだ。これを受け、最新のステップワゴンをベースにしたモデューロXのコンセプトカーが1月の東京オートサロン2018に姿を現している。その2カ月後、コンセプトカーと変わらないルックスで正式発表に移された。

◆専用装備で個性を発揮、サスペンションも特別仕様

エクステリアで目を引くのはフロントマスクだ。専用のエアロバンパーにダーククロームメッキとブラックの精悍なフロントグリルを組み合わせ、バンパーの両端には常時点灯するフロントビームライトと明るいLEDフォグライトを配している。リアビューはロアディフューザーで引き締めた。足元は、剣をモチーフにした17インチの専用アルミホイールとブリヂストン製の「トランザER33」(205/55R17)で個性を際立たせている。

インテリアも専用装備が多い。ピアノブラック調の専用インパネミドルパッドとディンプルレザーの本革巻きセレクトレバーを筆頭に、フロアカーペットマットも専用品だ。また、インパネの中央には静電式タッチパネルを採用した9インチのプレミアムインターナビ(ギャザズ)を組み込んでいる。オープニング画面が専用表示なのも見どころのひとつだ。シート表皮もプライムスムース×ソフトウィーブの上質なコンビシートをチョイスし、色味にもこだわった。もちろん、レーダーとカメラを融合した先進の安全運転支援システム、ホンダセンシングも装備する。


走りの装備で注目したいのは。専用サスペンションを装着していることである。ダンパーとスプリングをステップワゴンの性格に合わせ、最適にチューニングした。ベース車と比べて全高は15mm低い。全高は1825mm、最低地上高は140mmだ。駆動方式はFFで、パワーユニットは1.5リットルの直列4気筒DOHC直噴VTECターボが選ばれている。トランスミッションはパドルシフト付きのCVTだ。

エンジンはノーマルだが、1.7トンの重量ボディを難なく加速させる。ターボは低回転から過給を開始し、パワー感は2.0リットルクラスと互角以上だ。追い越しは瞬時にこなすし、街中ではフレキシブルな走りを披露した。また、静粛性に代表される快適性も高いレベルにある。CVTはパドルシフト付きだから、登坂路や下り坂でも速度をコントロールしやすい。アイドリングストップも自然な作動フィールだ。

だが、モデューロXの最大の魅力は、専用サスペンションの採用による気持ちいい走りにある。ステップワゴンはスポーティな乗り味が自慢だが、きめ細かいチューニングによってモデューロXは一体感が増し、コントロールできる領域も広げられた。パフォーマンスダンパーを装着したステップワゴンと比べても、スポーティ感覚は負けていない。

◆無駄な動きを抑え、乗員全員に快適さを

高速道路では強い横風にあおられても優れた直進性を見せつけている。レーンチェンジでも一体感があり、揺り返しも小さく抑えられていた。ロールの収まりもいいから同乗者の首が揺すられる回数も減っている。これはブレーキング時も同様だ。ドライバーは意のままの走りを楽しめ、同乗者はくつろぎ感と安心感が増した。

つづら折りのワインディングロードも苦にしない。連続するコーナーで、背の高さとクルマの重さを意識させない一体感のある走りを披露する。自然なロール感としたたかな接地感を身につけ、舵の正確性も高められているから、コントロールできる領域も広がった。同じスピードだと、ノーマル車より余裕を持って対処できる。また、ブレーキング時のノーズの沈み込みも上手に抑え込んだ。モデューロXは無駄な動きが減っているからクルマ酔いも減ると思われる。


快適性も向上した。17インチタイヤを履いているが、乗り心地は16インチタイヤを履くノーマルのステップワゴンに負けていない。長いホイールベースと相まって、路面の凹凸やうねりを受け流し、揺れもうまく抑え込んでいる。特筆したいのは、フロントシートだけでなく、2列目や3列目に座っても乗り心地がよかったことだ。お年寄りや子どもを乗せても苦情が出ることはないだろう。クルージング時は静粛性も高いから、ロングドライブしても疲れは少ないはずである。

走りの質感が大幅に高められたステップワゴンのモデューロXは、多くのユーザーにおすすめできるミニバンだ。350万円を超える価格だが、9インチ専用ナビや専用フロアマット等の基本オプションがほぼ装着済みで、ノーマルのステップワゴンでは飽き足らないという人や、走りの楽しさ・上質感にこだわる人にはいい買い物になる。

モデューロXのホームページはこちら

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集