プジョー『5008』は『3008』のホイールベースと全長を延長した3列シートモデルだ。全長は190mm長い4640mm、ホイールベースは165mm長い4640mmとなっている。全幅は1840mmで同一だが、全高は20mm低く1630mmの設定で、スッキリしたスタイリングを実現している。シートレイアウトは前から2、3,2名の7名定員。注目のサードシートは、身長173cmの私が乗ってもさほどの窮屈さを感じることはなかった。さすがにセカンドシートを一番後ろまで下げてしまうとサードシートのスペースは狭くなってしまうが、セカンドシートを後端から2ノッチほど前に出せばサードシートに実用性が生まれる。この状態でセカンドシートに乗っても、狭さはない(フロントシートも私の体格に合わせた状態)。サードシートはクッション、シートバックともに薄い形状なので連続しての長距離には辛いかもしれないが、うまく休憩をとりながらなら、そこそこのドライブでもいけそうな雰囲気だ。また、サードシートの収納性が非常にいいのも特徴。サードシートを前方に折りたたむと、まるでそこに存在しなかったかのようにフラットに収納が可能。セカンドシート収納時のフラット性もいい。これらのシートは助手席も含めてすべて独立していて、1席ごとに収納が可能だ。試乗車に搭載されていたエンジンはプジョーの例の1.6リットル4気筒ガソリンターボ。最高出力は165馬力、最大トルクは240Nmのパワー&トルクスペック。180馬力の2リットルディーゼルターボも設定されている。動力性能はなかなかスポーティで、低速からトルクを出しつつ吹け上がりのいいエンジンは気持ちのいい加速を楽しむことができる。サスペションの動きもいい。高速道路を走っているとホイールベースが伸びた分だけ、乗り心地はゆったりとなるのだが、ワインディングに行くとちょっと話しが変わってくる。非常に径の小さなステアリングを操りながらのドライブは、まるでカートに乗っているような感覚となるが、この味付けにはちょっと反対意見を述べたい。ひとり、もしくは二人で乗るようなクルマならまだしも、多人数乗車を前提としたクルマならもう少しゆったりした味付けでいいだろうし、ステアリング径も大きめにして、操作がゆったりとなるようにしたほうがいい。大きめの径のステアリングでスポーティに走るほうが、小さい径のステアリングでゆったり走るよりイージー。ならば選ぶべきは大径ステアリング(いや普通サイズでいいのだ)だろう。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★諸星陽一|モータージャーナリスト自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。