MotoGPの技術でキングの称号を奪還…スズキ GSX-R1000R 新型開発リーダー【インタビュー】

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スズキ GSX-R1000R
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  • GSX-R1000Rチーフエンジニア寺田 覚さん。
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  • スズキ GSX-R1000Rプレス発表会
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フルモデルチェンジを果たし、「GSX-R」史上もっともパワフルで、もっとも加速性能に優れ、もっともクリーンに走るスズキの新型『GSX-R1000R ABS』。サーキットでの試乗後に、開発チームから詳しい話しを聞くことができた。

「ナンバー1スポーツバイク、目標は“The King Of Sportbike”の称号を取り戻すことです」と言うのは、チーフエンジニアの寺田覚さん。

数カ月前までスズキMotoGPマシンのプロジェクトリーダーを務めていた、言うならばレースマシン職人。言うまでもなく、MotoGPというロードレース最高峰の舞台で培ったレーシングテクノロジーが新型GSX-Rにも取り込まれている。

「新型GSX-Rに採用したスズキのMotoGPテクノロジーのひとつが、『スズキレーシングバリアブルバルブタイミング(SR-VVT)』です」(寺田さん)

「吸気側のカムスプロケット内に12個のスチールボールがあり、これらが高回転時の遠心力で外側に移動することでバルブタイミングを切り替えるという仕組みで、バルブの切り替わる瞬間はレーシングライダーらでも感じることはできません。感じるのはシームレスな低中速回転と高回転時の明確なパワー向上。シンプルで軽量コンパクトなシステムで、信頼性はレーシングシーンで実証済みです」(寺田さん)

そして、バルブとカムの間に配置される『フィンガーフォロワー』も見逃せない。中空構造の薄いカムシャフトがF1スタイルのフィンガーフォロワーを動かすのだが、従来のバケットタペット(16g)から6gもの軽量化を実現。慣性質量が小さいため、エンジンの高回転化とバルブのリフト量を増やすことに貢献している。

「同時にバルブのレスポンスが向上し、バルブコントロールもより正確におこなえます。このフィンガーフォロワーはGSX-RR(MotoGPマシン)のものをベースに設計しており、耐久性向上のためのダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施しました」(寺田さん)

ほかにもまだまだMotoGPマシンからのフィードバックは多く、スタイリングもカラーもよく似ている。“The Top Perfomer”であり続けるため、スズキの精鋭たちの情熱が余すことなく注ぎ込まれた、まさにMotoGPマシン譲りの1000ccスーパースポーツである。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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