ヤマハが抜擢した次世代エース候補の野左根航汰とは

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野左根航汰選手
  • 野左根航汰選手
  • 向かって左から中須賀選手、吉川監督、野左根選手

●JSB1000、EWC、MotoGPマシンYZR-M1開発と多忙な一年に

全日本ロードレースJSB1000クラスにファクトリー体制を復活させ、今年で3年目のシーズンを迎えるYAMAHA FACTORY RACING TEAM。エースライダーはJSB1000クラスで6連覇8度のチャンピオンを目指す中須賀克行だが、今年から同チームに野左根航汰が加わることになった。

野左根は、2013年に全日本ロードレースJ-GP2クラスでチャンピオンを獲得。2014年からJSB1000クラスに転向し、2015年からヤマハの若手育成チームYAMALUBE RACING TEAMに所属。JSB1000クラスで優勝はないが、これまでに何度かトップグループに加わるなど才能の片鱗を見せていた。

「ヤマハのトップチームに昇格できたことは、本当にうれしいのですが、実績のない僕がトップチームで走るのには、正直なところプレッシャーもあります。でも、ヤマハの先輩ですごい記録を打ち立てている中須賀さんと行動を一緒にすることができるので、それがとても楽しみです。昨年までは、隣のピットから中須賀さんを見ていましたが、今年はそばにいられるので、レースへの取り組み方などを勉強して、早くトップ争いに加わりたいです」

今年の野左根はJSB1000クラスとEWC(世界耐久選手権)を掛け持ちする。そのEWCではYART YAMAHA Official EWC Teamに所属するが、このチームで昨年の“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8耐を走っている。

「去年の鈴鹿8耐では、ライダーとしていろいろと考えさせられるレースになりました。初めて履くピレリタイヤに順応ができず、体力面でも厳しかった。今年の僕の開幕戦は、鈴鹿2&4レースの前週に行われるル・マン24時間になりますが、まずはここをしっかりと走りきりたい」

昨年のチームでも体力アップが課題とされていた。野左根自身は太りにくい体質と言うが、身長171cm、体重60kgは、モンスターマシンを抑え込むには厳しい一面もある。だが、昨年からトレーニングを続けながら体重が4~5kg増加。トップライダーとしての身体が出来つつある。

「今年もトレーニングを続けながら、もう少し体重アップを図りたい。体力的には、今年は耐久レースを走るので、そこで必要な筋力もついてくると思います。ルマン24時間をしっかりと走り切れれば、その後のレースが楽になると思います」

●勝負は来年。進化を目指して今年はしっかりと経験を積む

全日本ロードレースJSB1000クラスで野左根が所属するYAMAHA FACTORY RACING TEAMを率いるのは、中須賀が師と仰ぎ、事実、中須賀の潜在能力を引き出した吉川和多留監督だ。そしてその吉川監督は、野左根をこう評する。

「コーナーでのマシンの倒し込みの素早さや深いバンク角は野左根選手の魅力のひとつ。ただ、そうした魅力的な部分を最大限に活用できていないので、その辺が課題になっていくでしょう」

やや厳しい評価だが、それだけ期待が大きいということでもある。一方で、野左根をどのように育成していくかにも興味深い。

「中須賀選手と同じ方法では無理でしょう。それぞれ人間として、ライダーとして個性が違いますから。ただ、野左根選手の場合は、私だけでなく中須賀選手からもアドバイスをもらえるので、将来的には、できれば中須賀選手とは違った世界を見てほしいとは思っています」

中須賀は現在、ヤマハの旗艦マシンであるMotoGPのYZR-M1開発を一手に担っている。それゆえに、個人の希望だけで世界挑戦はできない状況だ。対して野左根は、やはりYZR-M1の開発に加わりはするが、ライダーとしての自由度はある。そうしたことから、一日も早くライダーとして確立して、日本はもちろんSBK(スーパーバイク世界選手権)などで活躍できるライダーになってほしいと願っているのだ。

さて、野左根は中須賀の強さを「予選ではもちろん速いのだけれど、決勝レースになるとさらに次元の違う速さと強さがある。レースウイークでの組み立てはもちろんですが、レースを離れたところで学ぶべきことが多いと感じています」と語る。一方で、今年はTeam KAGAYAMAで浦本修充が、ヨシムラスズキMOTULレーシングからは濱原颯道など同世代がJSB1000クラスに登場する。

「もちろん同世代のライダーには負けられません。でも、僕が見ているのは中須賀さんであり、チームもファクトリーなので、とにかく中須賀さんと1-2フィニッシュをしたい。今年はEWCにも参戦するので、全日本を一戦欠場することになります。だからランキングなど難しい状況になりますが、それだけに一戦一戦でレースだけに集中することができます。今年は全日本とEWCで勉強して、来年、しっかりと勝負ができるようになりたい」

ヤマハの次期エース候補として、本格的に育成プログラムがスタートする野左根。まずはルマン24時間での活躍、そして4月23日に鈴鹿サーキットで行われるJSB1000クラス開幕戦NGKスパークプラグ鈴鹿2&4レースに注目したい。

《佐久間光政》

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