【MWC 2017】プジョー、10年先未来のコンセプトカーをワールドプレミア

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IT・モバイル業界の未来を占うヨーロッパ最大のイベント、「Mobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス、通称MWC)」がスペイン現地時間の2月27日から3月2日まで開催された。

世界中の著名人がキーノートを行うオーディトリウムの近くに、多くの人だかりでひときわ盛り上がりを見せるブースがあった。フランスの自動車メーカー、プジョーのブースだ。その理由はワールドプレミアの、イカしたコンセプトカーが展示されているからに他ならない。

元々MWCはIT・通信・モバイルの見本市で、近年のコネクテッドカーの盛り上がりを受けてブースに車両を展示する企業が増えてきたとはいえ、まだまだ通信・モバイル関連事業者のためのイベントという性格が強い。しかしそんなことを言っていたのでは、一向にクルマとIT・通信・モバイルのマリアージュは起きない。

しかし今回、プジョーがIT・通信・モバイルの関係者も自動車に高い関心を持っていることを証明してくれた。そしてそれがワクワクするようなエキサイティングな未来をイメージさせてくれるような、カッコいいクルマであれば尚更だ。プジョーがコンセプトカーのワールドプレミアにMWCという舞台を選んだことは、控えめに言っても英断だとしか言いようがない。

このコンセポトカーのデザイナーはMtthias Hossan(マティアス・ホッサン)氏、そしてプロジェクトマネージャーはPhilipie-Emanuel(フィリップ・エマニュエル)氏。両名ともフランスの出身だ。

コンセプトカーの名前は『INSTINCT』(インスティンクト、"本能"という意)。レベル4の自動運転に対応した、10年先の未来に市場投入されることを想定したコンセプトカーだ。パワートレインはPHVで、ボディタイプはシューティングブレイク。高速走行時にはリアのウィングが自動で出てくる仕様だ。助手席には大型ワイドモニターをインストール。シートは、座席自体は固定されて動かないのだが、ファブリック素材の座面が上下前後左右に動き、快適なシートポジションを実現する。シートの頭部には3Dプリンターを使用して作られたパーツが試験的に使用される。

運転モードは自動運転時の2モードと、通常運転時の2モードの合計4モード搭載されている。自動運転時はくつろぎながらクルマでの移動を楽しむことができる「Soft」モードと、目的地まで短い時間できびきびと運転してくれる「Sharp」モードの2モードが、そして通常運転時も同様に快適運転モードとスポーツ運転モードの2つが用意されている。なお自動運転モードの際は、リアのプジョーエンブレムの周囲が淡く光り、周囲の車両に自動運転モードで走行していることを知らせることができる。

運転席のドアを開けるとドアポケットに、最新のコンセプトカーとは対象的な、かなり年季の入ったのフランスのSF小説が入っていることに気がつく。これは「自動運転時にくつろぎながら小説を読むことができるということの示唆だ」とフィリップ・エマニュエル氏は語る。粋な演出だ。

サムスンのARTIC Cloud(アーティック・クラウド)を採用し、各種モバイル端末やウェアラブルデバイスと連携する。これにより乗員のバイタルデータを分析し、快適な車内空間や走行モードを自動で選択してくれる。なお、オーディオはフォーカルを採用。フォーカルもまたフランスのオーディオメーカーだ。

フランスのパリでは毎年5月に5000以上のスタートアップ企業と、ベンチャー企業と組みたい100以上の大手企業、そして100以上ものベンチャーキャピタルが集まる「Viva Technology(ビバ・テクノロジー)」という、世界最大級のベンチャー企業のビジネスマッチングイベントがある。

MWC会場でも、MWCと同時開催されるベンチャー企業軍の展示会である「4 Years From Now(フォー・イヤーズ・フロム・ナウ、通称4YFN)」でも「French Tech」というフランス企業群のプレゼンスは際立っていた。もしかしたら、コネクテッドカーと自動運転によってもたらされる新しいモータリーゼーションはフランス企業が牽引していくのかもしれない。プジョーをはじめとするフランス企業群のMWCでのプレゼンスは、そんなことを感じさせた。

《石原正義》

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