【新聞ウォッチ】日産のゴーン社長” シナリオどおり”三菱自動車会長を兼務へ

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提携会見で握手する日産自動車カルロス・ゴーン社長と三菱自動車の益子修会長(6月)
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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2016年10月20日付

●三菱自会長にゴーン氏、日産・ルノーと3社トップ兼務(読売・2面)

●三菱自、赤字予想2400億円、3月期連結リコール費・円高影響(読売・8面)

●自動運転バスに注力、独ダイムラーバス部門副社長(朝日・8面)

●「銀河鉄道999」復活西武鉄道(産経・25面)

●笹子トンネル事故訴訟、2審も遺族側の請求棄却(産経・28面)

●認可2年工事は加速、リニア住民理解置き去り(東京・3面)

●三菱自、再生へ体制固め、日産との融合急ぐ、再編の波高く(日経・3面)

●インテル「車の頭脳」開発へ、自動運転にCPU(日経・13面)

●ホンダジェット増産、18年にも3倍、米工場にIoT(日経・13面)

ひとくちコメント

日産自動車のカルロス・ゴーン会長兼社長が、傘下に収める三菱自動車の会長に就任するという。12月に予定している三菱自の臨時株主総会後に開く取締役会で正式に決めるそうだ。

19日の日経夕刊が1面で「三菱自会長にゴーン氏、日産、益子氏の社長留任要請」と報じたほか、きょうの各紙も追随した記事を取り上げている。

ゴーン氏の三菱自動車会長就任は、早くからささやかれていたシナリオどおりのトップ人事と言えるだろう。なぜなら、今年5月に日産と三菱自の資本提携が決まった直後、まず問題の技術開発部門を立て直すためにゴーン社長は日産から山下光彦氏を副社長のポストに送り込んだ。

山下氏は日産でも副社長を務めていたが、山下氏が三菱自で副社長のポストのまま改革を推進した場合、その上の会長ポストは、常識的には山下氏と同クラス以上のキャリアを経験した人物になる。それに当てはまる人材は志賀俊之、西川廣人の両副会長か、ゴーン社長に絞られるからだった。

ただ、今回のトップ人事でもう一つの注目は、燃費データ問題が発覚後、暫定的に社長を兼務している益子修社長の処遇。各紙とも「20日に両氏が会談して最終調整する」と取り上げているが、きょうの朝日によれば、「あなたが辞めれば『景色』が変わってしまう。考え直してください」と、益子氏にゴーン氏が「翻意を促していた」と伝えている。

その朝日は「益子氏は社長留任」との見出しで「20日に、三菱自への34%の出資を終え、午後にもゴーン、益子両氏が会見して発表する」と報じている。

いずれにしても、きょうの紙面でも気が早いメディア(産経)が5月に資本提携を発表した時にゴーン、益子両氏ががっちり握手を交わした写真を掲載しているように。崖っぷちの日産をV回復させたゴーン流改革を三菱自でも試そうとして、ゴーン、益子というツートップで陣頭指揮を執ることになる。

だが、それこそ17年前の業界を取り巻く「景色」も、巨大財閥を抱える三菱自との社風も違うだけに、「コストカッター」の手腕がどこまで通用するのか、興味津々である。

《福田俊之》

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