【ホンダ クラリティ FC 試乗】FCらしからぬホンダらしいパッケージングも見所…青山尚暉

試乗記 国産車

ホンダ クラリティ フューエル セル
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『クラリティ フューエル セル』は、CO2ゼロ、水だけを排出する燃料電池自動車である以前に、パッケージングに優れた先進のクルマである。

ホンダらしいMM(マンマキシマム)思想を貫き、ボンネット内にパワートレインを小さく低く搭載。高圧水素貯蔵タンクを積みながら、エンジン車と変わらないセダンスタイルを実現。セダンタイプのFCVとして世界初の5人乗りを可能にしているのだ(トヨタ『MIRAI(ミライ』は4名)。ゆえにこのシステムを使えば、既存のエンジン車に発展できるメリットがある。

気になる水素充填時間は約3分。航続距離は公称750キロ。エアコンなどを使用しても実質500キロ走れるとのこと。これなら例えば東京~軽井沢(往復約360キロ)、東京~八ヶ岳(往復380キロ)を無充填で走破できるわけだ。

水素自動車は排気ガスの代わりに水を排出する。MIRAIも例外ではないが、クラリティは水素の管理温度を高めたため、暖かい季節は水そのものをシュパーッと排出するのではなく、水蒸気として排出。おしっこをしているような後ろ姿を見せることは稀。もっとも寒い時期はポタポタするらしい。

ちょっとしたトリビアとして「スマートクリアワイパー」に注目だ。普通、走行中にフロントウインドーの汚れを落とす場合、ウォッシャー液を噴射してからワイパーで拭き取るのだが、一瞬、ウォッシャー液で視界が遮られる。しかしクラリティのワイパーはウォッシャー液ノズルをワイパーに内蔵。ワイパーの動きに合わせて、ワイパーが上に動けば上だけに噴射するため、視界を遮らないのである。ウォッシャー液が左右に飛び散らず、ウォッシャー液が少なくて済みタンクを小型化でき、歩行者にかからないなどのメリットもある。

日常域のリニアな走りを望みたいときに有効なノーマルモード、ダイレクト感ある走りを楽しみたいときにぴったりのスポーツモードを備えたクラリティの走りは、とにかく素晴らしく静かで、低重心でウルトラスムーズかつフラットライドな超高級車に匹敵する、マイルド感極まるフランス車的な乗り心地の良さが印象的だった。

もっとも、動力源が静かすぎるため、235/45R18サイズの低転がりタイヤのロードノイズは、ホイールにレゾネーター(ボコボコ音対策)を備えていても、路面の粒の大きいところではけっこう目立つのが惜しまれる。

運転席のドライビングポジションはホンダならではのセンタータンクレイアウトによる低フロアによって、『アコード』と変わらないポジション。ごく自然である。当然、重心高も下がり、操縦安定性に効果絶大。

高速道路で緊急回避的にステアリングを切っても、安定感は文句なし。回頭性は抜群と言っていい。

動力性能は伸びやかさ極まる加速感が特徴で、スポーツモードにセットしてもスポーティ…と言える切れ味、豪快さはないものの、そのジェントルさが大きな個性となる。

ただ、ちょっと残念に思うのはメーターの先進感。カラー液晶の盤面の見映えが平板で、例えば純粋なガソリン車のアウディ『A4』のバーチャルメーター、メーター全体がナビ画面にもなる「バーチャルコクピット」とくらべるとかなりシンプル、地味というかつまらない。ドライバーの視界に常に入るものだけに、近い将来の市販に向けてブラッシュアップしてほしいと感じたのも本当だ。

もっとも官公庁向けの後席メインのショーファーカーだとすれば、問題ないのかもしれないけれど…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★★


青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。
《青山尚暉》

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