【ジャガー XE ディーゼル 試乗】欧州勢のディーゼルでは最良の音色…中村孝仁

試乗記 輸入車
ジャガー XE ディーゼル「ピュア」
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出します、というアナウンスからだいぶ経つが、ようやくジャガー『XE』にディーゼルモデルが追加された。

例のVWの不正問題以来、日本ではディーゼルエンジンの登録が案外厳しくなっているらしく、今回のジャガーのディーゼルはその一件以来初めて認可の下りたモデルである。

とまあ前置きはこのくらいで、その新しい「インジニウム」という愛称の付いたジャガープロデュースによる最新の4気筒ディーゼル。排気量は2リットルである。マツダとメルセデスは2.2リットルだが、ヨーロッパ勢のDセグメントもしくはCセグメントは2リットルが主流となっている。インジニウムはパワーこそ180psだが、その最大トルクは430Nmと、2.2リットルのスカイアクティブを凌ぐうえ、同じ2リットルのライバルと比較した場合、明らかなアドバンテージを持っている。日常的に使う場合はこのトルクの大きさが武器となるので、当然ながら乗り易さという点では有利に働く。

XEのディーゼルで印象的だったのは、そのしなやかな加速感と、「音」である。 ディーゼルで音など期待しているわけではないのだが、このインジニウム・ディーゼルは他のディーゼルとは明らかに異なる音色だった。

ヨーロッパのディーゼルは、マツダと違って圧縮比が高い。このためアイドリング時の車外音は結構うるさいのだが、このインジニウム、他のヨーロッパ勢より低い15.5という圧縮比を達成しているせいか、やはりアイドリングでも音が小さい。そして加速していくと、ディーゼルらしからぬなかなかいい音を発するのである。他のヨーロッパ勢も加速が始まるとそれがディーゼルであるという明確な印象は薄い(マツダは明らかにディーゼルの音だが)。果たして音のチューニングをしているか否か定かではないが、少なくともディーゼルらしからぬ音であり、ディーゼルとしては最良のサウンドを奏でてくれる。

さすがに振動面でガソリン並みとは言えないが、その分トルクフルで燃費も良いので積極的にディーゼルをチョイスする必然性は十分にあるのだ。

これ以外のガソリン車との違いは、トランクに尿素を追加する注入口があるほか、タコメーターのスケールが違う程度で、基本的に変わるところはない。

高速に入ってひと踏み、「速っ!」が偽らざる印象。とにかくぐいぐいと引っ張っていく。同じエンジンを搭載する『XF』のピュアと比較してピタリ100kg軽いのだから、直接乗り換えるとその差が顕著であることは明白。もし、走り重視でジャガーのディーゼルが欲しいとなれば、性能的にはXEがお勧めである。

ハンドリングと乗り心地だが、先ず乗り心地に関して個人的にこのセグメントで最高だと思うメルセデス『Cクラス』ほどのフラット感はない。次にハンドリングは最もシャープな印象を受けるBMW『3シリーズ』ほどのキレたものではない。でも、概ねDセグメントハイエンドのモデルとしての素養は備えている。簡単に言えば秀でていると言える部分はエンジン性能で、他の部分は2番手3番手にいるということだ。

イマイチだと思えるのがインフォテイメントシステム。正直決して使い易いものではなかった。それにまだローカライズが不十分なのか色々とトラブルも出た。この部分はもう少し煮詰めて欲しい。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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