2015年12月、2016年1月と2か月連続で軽自動車販売ランキングで首位となったダイハツ『タント』/『タントカスタム』。飽くなきスペース効率への追求で、新世代の軽自動車のスタンダードを築き上げた立役者は、今もその進化を止めることを知らない。人気の秘訣は、やはりその広大な室内空間と、助手席側センターピラーをドアに内蔵したことによる大開口「ミラクルオープンドア」だ。
マイナーチェンジ(2015年12月14日発売)でさらに質感を高めたタントとタントカスタムの魅力は、単に「使い勝手が良い」という枠にとどまらない。今回、モータージャーナリストの西川淳氏とまるも亜希子氏に改めてタントを試乗してもらい、その人気の秘密について語り合ってもらった。スーパーカーのレビューを得意とする西川氏の意外な評価とは、そしてママになったばかりのまるも氏が車に求める注目のポイントとは。
◆お母さんにとっては「神」ですよ
西川淳(以下、西川):僕はね、タントに関してはうるさいですよ。まず名前がイタリアっぽいじゃないですか。すごい勝手なイメージだけど、タントってイタリアのすごい優しいお母さんのイメージ。
まるも亜希子(以下、まるも):「マンマ」(お母さん、を意味するイタリア語)ね。
西川:そう、マンマ。マンマが「温かい家庭に一緒に帰りましょう」っていうイメージなんですよ。そういう意味でタント、昔から嫌いじゃないんですよ。こう見えて(笑)
まるも:私は最近ママになりましたから、タントのありがたみがホント、身にしみるんですよ。
西川:例えばどんなところ?
まるも:やっぱり、この大きなミラクルオープンドアですよ。子供を抱えながら、買い物した荷物を2つも3つも持って…(電動パワースライドドアを開きながら)ガッと自動で開きますよね。それで、乗り込む時もどこにもぶつけずに乗れる。
西川:結構ぶつけるっていうことやね。
まるも:そう、痣だらけになるんですよ。ママはなりふり構っていられませんからね。
西川:なるほどね。大事なのは自分の子供と…
西川・まるも:『荷物』(笑)
まるも:しかも、雨なんて振っていようものなら、傘を差しているでしょ。それでもそのままサッと乗り込めるのって、タントしかないんですよ。それとこの低床。すごく低いんですよ。ワンステップで乗り込める。
西川:子供が歩けるようになっても一人で駆け上がれるもん。子供も喜ぶよね、これだけスペースがあると。何で他のメーカーは「ピラーイン(ドア内蔵ピラー)」せぇへんの(笑)
まるも:まだまだオムツ替えのスペースがない場所も結構多いんですけど、そういう時活躍するのが車の中なんですよ。(タントなら)子供を寝かせて、お母さんが入るスペースもあるんですよ。(助手席シートバックレバーで背もたれを倒しながら)シートをテーブルにすれば、ここでミルクも作れちゃう。お母さんにとっては「神」ですよ、「神スペース」(笑)
西川:なかなかそういう所、気がつかないもんね。単にイメージでお母さんに良さそうな車だなと思ってたけど、すごい考えられてるわけや。
◆ダイハツ、走りも頑張りました
まるも:でも西川さんはやっぱり、ちゃんと走らないと嫌でしょ? 背の高い車でも。
西川:走らない車ってイメージあったけど、今日乗ってみてビックリしました。軽で東京~京都の往復は何度もしてるし、最近の軽自動車はよくできてるとは思ってたけど、タントはその中でもトップクラスじゃないかな。背の高い車だけどちゃんと走る。高速も全然OKだよね。
まるも:女性にとっては、(背の高い車だと)カーブを曲がる時とかグラッとしがちで、そんな時ヒヤッとするじゃないですか。でもタントは全然平気。合流の時なんかも、全然加速しない車ってモタモタ感が出て怖いんだけど、(タントは)スーッと走ってくれるし。
西川:ダイハツもちゃんと作ってるなってすごい感じるよね。
まるも:西川さんみたいな男性が乗っても「ちゃんと走れる」と思わせるし、運転が苦手な女性が乗っても、「あれ、私なんか運転いけてるかも」って思わせてくれる。
西川:やっぱりね、(車の挙動が)ちゃんと動かないとイマジネーションが湧かないんだよね。タントは女性向きかもしれないけど、カスタムなら男性が乗っても楽しいですよ。乗り心地も良いしね。ダイハツ、頑張りましたよ。