経済産業省製造産業局と国土交通省自動車局が合同で開催する「自動走行ビジネス検討会 将来ビジョン検討ワーキンググループ」の議事録公開が遅れている。
将来ビジョンWGは第1回が9月29日に開催された。2回目のWGは11月20日に終わっているが、両省とも初回の開催案内をホームページに掲載しただけ。1回目の議事録、参加するメンバーさえも公表しないうちに、今年の開催を終えた。
「参加メンバーが議事録を確認中。発言内容が個社の研究分野に触れているのでその公表範囲に手間取っている。経産省には早めの公開をお願いしているが、いつになるかは未定」(国交省自動車局技術政策課)
いずれ公開する予定というものの、出席者も、検討会の取りまとめ役となる識者も明らかにされないまま会議が重ねられていくのは異例だ。
自動走行の技術が実用化に近づくほど、そのビジネスの成否は社会的な認知が鍵になるといわれ始めた。自動走行のイメージが一般の国民と関係者の間で離れるほど、その実現は難しくなる。開発者にとっては当然のことが、一般の常識になるには時間がかかる。
そうでなくても、審議会や研究会は公開が基本だ。その内容が施策に反映されることもあるため、中心となる出席者が開催直後に趣旨やメンバーの発言内容を説明することもある。中には最初から傍聴が可能な場合もある。議事内容が後日まとめられる場合でも、次回開催日までには公開されることが一般的だ。
将来ビジョンWGは「両省局長の勉強会的な位置付けにある」というが、2030年前後の自動走行ビジネスで日本の競争力を確保していくための課題を抽出して理解を深める役目を担う。
自動走行については一昨年、日本が世界一を目指すための「総合科学技術・イノベーション会議」が政府主導で立ち上げた研究テーマ(戦略的イノベーション創造プログラム=SIP)の中でも取り上げられている。そこでは2020年の東京オリンピックに自動走行システム(レベル3)の実用化を目指しているのだが、将来ビジョンWGは、さらにその先の未来を考えるという。その先の未来が見えない。