【SUPER GT 最終戦】6台が残るGT500王座争い、もてぎ決着へ…雨なら大逆転の可能性も

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もてぎ最終戦でGT500王座の行方が決まる(写真は2014年)。
  • もてぎ最終戦でGT500王座の行方が決まる(写真は2014年)。
  • 今年も最終戦の舞台はツインリンクもてぎ(写真は2014年)。
  • 現在GT500ドライバーズランキング首位の#12 GT-R(後方)と、2点差で追うランク2位の#1 GT-R(前)。
  • 左からGT500ポイントランク首位の#12 GT-R オリベイラ&安田、ランク2番手の#1 GT-R 松田&クインタレッリ。前戦では#1が優勝、#12が2位だった。
  • #12 日産GT-R
  • #1 日産GT-R
  • #38 レクサスRC F
  • #46 日産GT-R

2015年のSUPER GTシリーズが、14~15日に開催される第8戦「MOTEGI GT 250km RACE」でフィナーレを迎える。GT500クラスは6陣営にタイトル獲得の可能性が残る状況で、雨の予報も強まるなか、大逆転劇が見られる可能性もありそうだ。

シリーズ最終戦のステージは今年もツインリンクもてぎ(栃木県)。ロードコース53周で競われる250km戦は、これも近年同様、決勝レース距離としてはシーズン最短となる。最終戦は年間成績連動のウエイトハンデが原則ゼロ(一部例外あり)となるラウンドだけに、よりスピード勝負に特化したかたちで、世界最速ハコ・レーシングの醍醐味を存分に味わえる設定となっているのだ。

日産GT-R、レクサスRC F、ホンダNSXが覇を競うGT500クラスは、参戦15台がすべてノーハンデで最終戦を迎える。そして今大会最大の見どころであるGT500ドライバーズタイトル争いの状況は以下の通り、6陣営にチャンスが残っている。

■GT500ドライバーズポイント上位
66点 #12 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信&J-P.デ.オリベイラ/BS)
64点 #1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/MI)
53点 #38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路&石浦宏明/BS)
50点 #46 S Road MOLA GT-R(本山哲&柳田真孝/MI)
49点 #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴&伊沢拓也/BS)
49点 #36 PETRONAS TOM’S RC F(伊藤大輔&J.ロシター/BS)
※BS=ブリヂストン、MI=ミシュラン。決勝1~10位に20-15-11-8-6-5-4-3-2-1点。

ここ2シーズンの戦力比較等から考えれば、全車ノーハンデの状況下、王座争いはトップ2のGT-Rによるマッチレースと考えるのが妥当だろう。現在ポイント3番手の#38 RC Fは最低限2位が、4~6番手の3台に関しては最低限優勝が必要で、いずれにしてもトップ2の順位次第と、王座に向けては他力本願のかなり苦しい立場にある。

ただ、ここへ来て週末の天気予報があまり良くないことが、奇跡の大逆転の可能性を少し大きくしている。一般的に雨なら波乱要素が増すのは当然だが、それ以上に影響しているのはSUPER GTならではの競技事情だ。世界的にも今や稀少なタイヤメーカーの激しい競争があることはSUPER GTの大きな魅力のひとつ。雨のレースになるとそれがギャンブル的要素につながり、特定メーカーのタイヤだけがその日の雨量にドンピシャ、というような状況も想定され得るからだ。

仮にそうなると、5台も存在する多数派「レクサスRC F+BS」の組み合わせが上位を独占できる可能性も浮上してくる。つまり、ポイント3~6番手のなかでも特に#38 RC Fや#36 RC Fには大逆転王座のチャンスが到来するかもしれないのである。レクサス、そしてホンダの各陣営は、とにかく雨を期待したいところではないだろうか。

とはいえ、ポイントを含めた総合状況的には前述したようにトップ2台、#12 GT-Rと#1 GT-Rが圧倒的に優位。この2台は優勝なら自力王座、大まかに括って言えば、お互いの前でゴールして表彰台を獲得すれば、他の4台の順位に関係なく自力でドライバーズチャンピオン獲得だ(#12は「#1の前で4位」でも自力王座。以上すべて手元計算)。この#12対#1のGT-R対決、同門とはいえ、もちろんナンバーワンを目指して激闘必至の構図であり、BS対MIのタイヤ戦争の縮図というかたちにもなってくる。

BSを履く#12 GT-Rは闘将・星野一義監督が率いるインパルのマシン。今季未勝利ながら、安定した成績でトップを守って最終戦を迎えた。安田とオリベイラはGT500初王座を目指す。実現すれば、インパルからは1995年の影山正彦以来、20年ぶりのGT500ドライバーズチャンピオン輩出に。

#12を2点差で追うMI装着の#1 GT-Rは、ニスモが走らせる日産陣営の旗艦。前戦オートポリスで#12との直接対決を制して今季2勝目を挙げたが、敗れて2位ならば12点差になっていたところで、実に大きな勝利だった。自力逆転王座の可能性が大きく膨らみ、松田&クインタレッリは連覇を狙う。クインタレッリは11~12年にもMOLAチームで連覇をしており、王者となれば単独最多、GT500個人4度目の戴冠だ。

GT500単独最多となる個人4度目戴冠の可能性は、奇跡の逆転にかける#38 RC Fの立川、#46 GT-Rの本山にもある。また、現在16勝でGT500通算最多勝に松田(#1)、立川(#38)、本山(#46)の3人が並ぶ状況に最終戦で変化が訪れる可能性もあるだろう。その他、今季スーパーフォーミュラで新王者となった石浦(#38)には、国内トップフォーミュラとGT500の両ドライバーズタイトルを同一年に獲得するという、2004年R.ライアン以来11年ぶりとなる快挙がかかる(なおGT500チーム部門タイトル獲得の可能性があるのも前記6陣営)。

GT500タイトル争いからは外れた9台も、もちろん最終戦制覇に虎視眈々。また、すでにタイトル争いの決着がついたGT300クラスも、国内外の多彩な車種群による“ほぼノーハンデ一発勝負”となるだけに、いつも以上に面白さが増しそうだ(GT300は一部車両にウエイトハンデが残る。ドライバーズタイトルは#10 GT-RのA.クートが、チーム王座も#10 GAINERチームが確定済み)。そしてホンダCR-Z GT(#55 ARTA CR-Z GT)のGT300最終走というメモリアルレースにもなる。

注目のSUPER GT最終戦もてぎは、2段階方式のノックアウト予選が14日に、そして決勝250kmレースが15日に実施される。

《遠藤俊幸》

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