ガソリンモデルの試乗車は、カタログの表紙と同じレッドメタリック。従来のプレーンなマスクが決してキライではなかった立場からは、第一印象は“押し出し、存在感のあるマスクになった”とだけご報告しておこう。対してインテリアは、変化の度合いはごく小さい。ガソリン車の場合インパネまわりはコンソール、スイッチ類は変わりなく、ステアリングもスポークの加飾を変えているが、基本形状は同じだ。外観よりインパネ形状をむしろ一新してもよかったのでは? とは思う。が、走りの印象は従来型よりも際立ってきた。PHEVの存在感が大きい『アウトランダー』だが、ガソリン車の走りにも磨きがかかっている。とくになめらかで重厚な乗り心地、しっとりとしたダンパーのフィーリングは光っており、遠くに、2代目の頃のパジェロの頼もしくも上質な乗り味も両立させた、あの走りの雰囲気を連想したほど。あるいは2代目『ディアマンテ』など。懐の深い、安心感のある、少し懐かしい三菱車の味わいがした。2.4リットル(169ps/22.4kgf・m)のエンジンは、もちろんスムースでゆとりがある。アクセルレスポンスも十分に敏捷で、ストレスのない走りが実現されていた。ただしユーザーの立場として考えると、真面目なクルマではあるが、もうひとつ背中を押されるようなポイントが欲しい気もした。走りのよさを引き立ててくれる演出(とくにおや!? と気持ちがなびくような、内・外観デザインなど)があると、なおいいのではないだろうか。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。