エンジンにこだわるBMWが直列6気筒エンジンを新開発した。世の中が小排気量とか軽量化に走っている中で、BMWはそういう流れをおさえつつ、独自の世界を構築している。
新直6はこれまでのものに比べてショートストロークを採用。エンジンを回す楽しさを打ち出した。圧縮比も10.2から11.0に引き上げ、パワーは20ps、トルクは50Nmもアップさせた。
その実力を試すために、BMWの本拠地ミュンヘンに飛んだ。
用意されていたのは『3シリーズ』の4ドアセダン。「340i」というネーミングのモデル。LEDヘッドライトや新しいLEDを採用したリアコンビランプが2015年モデルとの相違点になる。サスペンションもハンドリング特性もパワー/トルクアップにあわせて改良されている。
テストコースはミュンヘン近郊。最近のアウトバーンはスピード制限区間が多くなったとはいえ、まだ全開走行はできる。8速ATのDレンジでアクセルを踏み込むと、新直6エンジンは6500のイエローゾーンをオーバーし、7000回転までイッキに上昇する。0~100km/h加速は5秒台。スムースでバランスの良い直6は5000回転も回せば1速50、2速85、3速100、4速125、5速160km/h、そのままアクセルオンで200km/hの世界に突入する。これがアウトバーンテストの醍醐味だ。
改良されたサスペンションとハンドリング特性はスポーツ走行向き。適度な緊張感をドライバーに伝えながら、超高速ドライビングを楽しませてくれた。
日本仕様も9月から発売だが、340iの高性能を味わえるのはアウトバーンのような環境が必然なのかもしれない。
■5つ星評価
パッケージ:★★★★
インテリア:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ:★★★★
石川真禧照│自動車生活探検家
日刊自動車新聞社を経て1971年からフリーの自動車評論家。1982年、I.W.オフィースを設立、自動車を中心としたメディア活動を開始する。自動車を生活の道具として捉える評論を得意とし、「自動車生活探検家」を名乗る。