999ccである。ターボがついているとはいえ、リッターカーのアウディなのである。
排気量の大きさで存在価値をアピールするバブル時代の化石はすでに定年の時期を迎え、すっかり小排気量がセンターを勝ち取っているのが世界の流れ。日本、出遅れていますよ、周回遅れ気味ですよと思わざるを得ない欧州の勢いである。
999cc、しかも3気筒。ひと昔前なら、軽自動車用でしょ、音も軽いしと、鼻であしらうような設定だが、そこはそれ、アウディとあらば上質感を演出する力は長けている。
それを証拠に3気筒独特の音は、言われなければわからないほどにうまく味付けされている。そしてパワー。平坦な道を走るぶんには問題ないのだが、上り勾配になると少し物足りなさを感じてくる。裏返せば、燃費を出すためにいいバランス点で調整しているといえるだろう。もし、パワーが欲しいと感じたときは「S」モードに入れると、とたんに走り系にスイッチが入り、気持ちよく駆け上がるようになる。
MTモードでシフトレバー操作でギアを選ぶのも面白いものの、こうなってくるとハンドルにパドルシフトがあればなあと、欲張りになってしまう。
しっとりしなやかなサスペンション、品のいいインテリアデザイン。液晶の日本語表示の文字が大きいのがちょっと癇に障るし後部座席の足元は狭いけれど、荷物スペースが十分に確保された4枚ドアのコンパクトは、めっちゃ使いやすいのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆