東京湾に突き出した茜浜(千葉県習志野市)に、メルセデスの一大拠点がある。メルセデス・ベンツ日本の部品・リペア・トレーニングなどをつかさどる習志野事業所だ。7月31日、海辺に面したこの敷地の一室で、同社の板金塗装(BP)技術が公開された。
この習志野事業所は、その50km圏内に成田空港、羽田空港、東京港、横浜港、京浜工業地帯などが含まれるという立地で、「ドイツから輸入される部品の通関から入荷までが効率的。陸路・空路ともに優れた配送効率を確保。関東主要部への配送は同日複数回可能」(同社)という。
公開された技術は、人の神経のように張り巡らされたセンサーやカメラなどの電子系統の確認・補正、軽量高剛性ボディのリペア技術、新車購入時と同じ品質の塗装を実現するミクロ技術など。
ボディ修理のカテゴリでは、『Cクラス』の製造ラインに採用された異素材接合技術(ImpAcT:Impulse Accelerated Tacking)が紹介され、「クルマのボディにおける一般的な溶接は、両方からスポットをあてるが、このImpAcTは、片方から一発でしとめるもの」と同社は説明。
「こうした独自技術は、ダイムラー社承認の機器を使用するメルセデス正規販売店指定板金塗装工場だけでしか完全な修繕は達成できない。また、ボディ修理にともなう、カメラやレーダセンサーの狂いは、正しい取り付けと厳格なチェックが求められる。かんたんなリペアでも、正規販売店指定板金塗装工場でしっかり修繕しないと、クルマがもともと持つ安全システムや走行支援技術などが的確に作動しない可能性もある」(同社)
習志野事業所のスタッフは、「電子機器診断用データロガーを用いた診断し、ダイムラーが指定する最先端ツールで修繕、高度な技術資格を持つスタッフによる最終チェックを経て、はじめて新車時と同レベルの品質が戻ってくる。正規販売店指定板金塗装工場だからできる技」とも話していた。