トヨタ自動車が7月9日に発表した新型『シエンタ』は、乗り込み高さ330mmの低床化とフラットフロアが大きな特徴になっている。この低床&フラットフロアパッケージにより福祉車両のバリエーションも拡充し、ストレッチャー乗車を可能にしたタイプも新たに設定されている。
新型シエンタの製品企画の取りまとめを手がけた製品企画本部の渋谷友次主幹は、「このクラスでストレッチャーが入るのは初めて」とした上で、「ご主人の介護で奥様が車を運転されている方は、やはり『ハイエース』のような大きい車でなくコンパクトカーを好まれる。実際、ストレッチャーを無理やり乗せて固定できないような状態でお使いになっている方もいらっしゃる。このクラスでなんとかストレッチャーを乗せたかった」と、商品化の背景を明かす。
新型シエンタでは薄型燃料タンクの採用などによる低床&フラットフロアおよびドライバーズシートの形状をベース車と変えることで、ストレッチャー乗車を実現した。
さらに新型シエンタをベースにした福祉車両では、リクライニング機構が付いた車いすの乗車も可能になっている。渋谷主幹によると「リクライングできる車いすが現在2割近くを占めている。これまでトヨタのコンパクトカークラスの福祉車両には『ラクティス』に車いす仕様車があったが、リクライニング車いすは乗せられなかった」という。
これも新型の低床&フラットフロアパッケージにより、リクライニング車いすの乗車を可能にするとともに、1.5列目の位置まで乗り入れることも可能になった。これによりドライバーの手が届き、安心感が高まるとしている。