クーペと1mmも違わぬ全長でスタイリッシュに仕上げてあり、思わずかつてのアルファロメオ『156スポーツワゴン』を連想した。リヤオーバーハングが冗長にならず小気味よいフォルムを形成、同時に実用性も“あなどれない”のが美点だ。
スーッとキレイに一筆書きされたサイドウインドのモールが美しい。兄貴分の『CLSシューティングブレーク』に対し見劣りするどころか、与えられたサイズ内でバランスよくまとめられたスタイリングだ。
そして何しろ感心したのはラゲッジスペースの大きさ。クーペをしっかりと上回る495~1354リットルの容量といい、深さ、奥行きのゆとりといい十分。後席はシングルフォールドだが、ワゴンのユーティリティが必要なユーザーにも文句なしだろう。また後席の頭上空間もクーペ+40mmのゆとりがあり、居住性を拡大している。
どれか1台の試乗…と選んだのは「250 SPORT 4MATIC」だった。クーペ+20kgの車重(前後重量バランスの違い)もあってか、高剛性ボディで、クーペ以上にスムースな乗り味を実感。試乗日は折りからの雨だったが、悪化した路面状況でも涼しい顔で走る安定感・安心感はさすがだ。2リットルターボ+7速DCTの動力性能もキレ味がいい。
最小回転半径が5.1mだから、扱いやすさも嬉しい。手頃なボディサイズであるのもいいところ。運転席で味わえる適度なスポーティ感も特徴だ。既存の国産ステーションワゴンからの乗り換えに迷っているユーザーにも、案外と馴染めるのではないだろうか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。