気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2015年6月16日付
●いすゞ、GMと再接近進む、中型トラック供給へ(読売・10面)
●ベンチャー発三輪EV、8月に納車100万円(読売・10面)
●旅客機熱い成長市場、パリ航空ショー開幕、MRJも参戦(朝日・8面)
●トヨタ、個人向け新株、総会提案へ、安定株主確保「監視弱まる」批判も(毎日・7面)
●燃料電池車輸出に追い風、安全基準の相互承認ルール発効、自国検査、相手国で運用(産経・11面)
●直球緩球、フォルクスワーゲングループジャパン社長、庄司茂氏、新型セダン、高級車対抗(産経・11面)
●燃料電池船を開発、戸田建設とヤマハ発、今夏に試験運転(日経・1面)
●スズキ、プロトンと提携、マレーシア攻勢、国民車ブランドで販売(日経・13面)
●銘柄診断、ホンダ、リコール問題長期化懸念(日経・18面)
ひとくちコメント
トヨタ自動車の定時株主総会がきょう(6月16日)の午前10時から豊田市の本社で開かれるが、開催前からトヨタの総会の話題がメディアでこれほど取り上げられるのも珍しい。
きょうの毎日の朝刊でも「トヨタ、個人向け新株、総会提案へ」などと、取り上げているが、きょうの総会では、第7号議案として「個人投資家を増やす狙いで「AA型種類株式」と呼ぶ新型株式(非上場株)を発行するための定款の変更などを提案する。
この新株の特徴としては普通株と同様に議決権があり、発行後5年は売却できないが、その後は取得価格でトヨタが買い取りを保証するという低リスクが売りだ。
総会で可決されれば今夏にも5000万株(あるいは5000億円)を上限に募集を開始。発行価格は普通株の株価より2割以上高くするが、配当利回りは5年間の平均で1.5%に設定。しかも、5年が過ぎれば普通株に転換も可能で、株価が取得価格より上値であれば売却益も得られるメリットもある。
トヨタでは安定運用を望む個人資金を呼び込み、先進技術開発の投資に振り向ける考えという。
ただ、きょうの毎日によると「一部投資家からは『経営監視が弱まる』などの反発もあり、議決の行方が注目される」と指摘している。
海外勢の中では米年金基金や、外国人株主に影響力のある米助言会社が反対に回るなど、トヨタ株を約3割持つ外国人投資家らの理解が得られなければシャンシャン総会では終わらない可能性もある。
純利益が初めて2兆円を超える好業績にもかかわらず、トヨタの経営陣にとっては久々に緊張感が走る総会になることだろう。