どんなにかっこいい指導者がものすごくいいことを言っても、鼻毛が一本出ているだけで説得力はゼロになる。そう言ったのは私じゃない。かのなでしこJAPANをひっぱる佐々木監督だ。女性を指導するむずかしさを、彼独特のユーモアで表現した有名な言葉だが、『レジェンド』に乗りながら私はその意味を痛感している。いや、レジェンドが鼻毛を出しているわけではない。気になったのはウィンカーレバーのタッチ感&音。めいっぱい上質を目指したレジェンド。ドアの開閉音なんて、ぱふっとすごく柔らかで包容力のある音をさせてくれて期待満々だったのに、最初の右折で淡い夢から目が醒めた。安っぽい。残念だ。女性はワガママだ。でもこれが現実なのだ。佐々木監督が言っていたもん。とはいえ、シートの座り心地も、運転席まわりのしつらえも、ものすごく思い切ったシフトスイッチのデザインも賞賛に値する。シフトスイッチが奇抜なレイアウトすぎて、慣れないとか使いにくいとか、あわてているときリバースが探せないとか(それは私)、そんな文句は放っておけばいい。こういうクルマで思い切ったことができなければ、いつまでたっても進化はできない。挑戦には拍手である。ただ一方、走りは高級車としてどうだろう。HVゆえのモーターで滑らかさを出しているとはいえ、ミッションのDCTは、低速から速度を上げていくと、シフトチェンジのときに前後にがくがくとゆさぶられる。高級車の位置づけでこの唐突にも感じられる揺れは許しがたいものがある。さらに、少し速度を上げて入った時に、ステアリングを左右にきると、ふらふらする。やはり高級車であれば、もっと落ち着いた乗り心地を期待したいところだ。HVシステムを押し込んだため、トランクは奥行きがなく使い勝手が悪い。価格表を改めて見ると680万円という値段。ターゲットがどこにあるのか、いまひとつよくわからないぞ。■5つ星評価パッケージング:★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★フットワーク:★★★オススメ度:★★★岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。
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